白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

白井のエッセイ

NO.1 カスピ海ヨーグルトの本が出来ました

はじめまして白井操です。料理の仕事を始めて20年。つくづく好きな料理をつづけられ感謝です。新聞のエッセイや雑誌、本作りなどを通して料理は楽しいとひたすら言いつづけてきました。もしかしてテレビでうれしそうに料理を作っている私をみてくださった方もいらっしゃるかな。
まわりの人がよく言っているのは、何をしている時も同じ。いつもあまり変わらないということのようです。
20年近く仕事のお付き合いのある方いわく近頃は
「ずいぶん早くしゃべれるようになったよ。以前はそのゆっくりしたおしゃべりにみんな待ってたんだから・・・」
「へぇ~びっくりした。待たせてたんだ。」
私、関西弁で言うところの「感動しい」見て聞いて触ったものからたくさんの喜びをみつけます。毎日新聞の朝刊に隔週木曜日に書いているエッセイを読んでくださると分かると思うのですが・・・。
今回ホームページを開設することになりました。「料理は楽しい」白井操クッキングスタジオからのいろいろなメッセージやイベントのお話をどうぞお楽しみに。

平成14年10月1日


NO.2 神戸 洋菓子の歴史

神戸に生まれ育って54年。地震がなければずーっと神戸を離れることもなかった私です。
読売新聞の夕刊に私の好きな神戸を書くにあたりちょっとびっくり。
神戸を支える地場産業はアパレルファッション・日本酒・洋菓子・真珠・ケミカルシューズ・家具・そしてなんとクリスマス用品。
中でも洋菓子は有名です。ルーツは外国人居留地。
1868年開港以来もたらされた欧米の生活文化を市民がとり入れこの地で育まれた楽しくおいしい伝統です。
神戸っ子たちが幕末開港6年目に始めたのは洋風おせんべい。
これはぜいたくせんべいと呼ばれ大好評だったとか。
開港16年目頃には、すでにバター・チーズ・コンデンスミルクを始め輸入菓子が急増して今の洋風化が浸透し始め、明治30年にはシュークリームやマロングラッセがすでに元町に。
それから10年も経たない時に神戸から焼きたてのおいしいパンが出ていくのです。
こんなすてきな歴史を教えてくださったのはモロゾフ広報の石原さん。
日本で初めてバレンタインにチョコレートを贈るという習慣を広められた会社の方です。

平成14年10月15日


NO.3 兵庫県丹波の黒豆

「あー満足満足。」
今年もおいしい黒豆の枝豆をお腹一杯食べて秋がきました。
ご存知ですか兵庫県の丹波の黒豆の枝豆。びっくりする程粒が大きくてふっくらゆがきあげたものは口の中で甘さが広がってなんて説明したらこのおいしさが伝わるかしら・・・。
実は私は普通の人より時間をかけて沸騰後弱火で30分くらいゆがきます。こうすると甘みが一段と増しまだ少し歯ごたえも残り他の枝豆では味わえないおいしさに出会えるような気がするのです。黒豆選びで一番大切なのはどれだけ畑で熟しているかということですが、さやがまだ青々しいのは美味しくありません。枯れたようにみえ表面が黒ずんでくる、このポイントを黒豆を栽培しているお店の人は逃しません。
ですから自分の都合で「早く送って!」とせかしてはいけませんよ。こればっかりは、はしりはおすすめできません。10月の16日17日18日頃。この瞬間の美味しさ。
豆の中から虫が出てきたりすると、「あ-良かった。」虫も安心して食べていると喜びましょう。農薬が強ければ虫も寄り付きません。毎年食べているおいしさを今年も元気に味わえる幸せ。生きていて良かったと思えることをたくさん作っていきたいものです。
まだ召し上がったことのない方は、ぜひ来年黒豆の枝豆に出会ってくださいね。

平成14年10月28日


NO.4 岸和田だんじり祭りとコシノアヤコさん

今年の秋はあこがれのお祭りに2つも参加できました。
ちょっと聞いてくださいますか、この感動。
一つめは岸和田のだんじり。私の大好きなデザイナーのコシノアヤコお母ちゃんのご招待にワクワクして出かけました。方向オンチの私を案内してくれるのは料理教室の千秋ちゃん。彼女もだんじりファンらしい。説明にも力が入ります。実は私の住む神戸の御影周辺にもだんじりがあって毎年楽しみにしているのだけれど、この町のそれは、すごい!走るだんじりの大屋根の上で踊っているはっぴ姿の若い衆はなんと威勢のいいこと。
町中がだんじりを中心に一年がまわっているようです。
コシノのお母ちゃんは89歳。信じられ若さは、そのおもてなしにも表れています。2日に分け祭りに合わせて鶏をふ化後130日目のおいしさを鍋に仕立ててくださるのですが、まあおいしいこと。他にお母ちゃん特製卵焼き。糠漬けのきゅうりや水なす。そしてなによりご本人も本当においしそうに飲まれるシャーベット状に冷やした日本酒。長時間の途中にも皆にお酒をすすめご自分もおいしそう飲まれる姿がごちそうです。いいなあ。カッコいいなあ。ぐちっぽくないお母ちゃんの生き方はおもてなしそのもの。
だんじりの音と一緒にあのときの皆の楽しい笑顔が広がります。あー楽しかった。
次回は長崎のおくんち祭りをの様子とその時のご飯のことを書かせていただきます。

平成14年11月12日


NO.5 長崎県おくんち祭り

私は人が好きです。ご飯を作る仕事でよかったと思うのはいろんな他人と食卓を囲むことでその方のおいしい顔に出会えること。
笑顔のエネルギーって昨日食べたものが作るような気がします。この秋は長崎の大きなお祭り、「おくんち」に呼んでいただいて、そのスケールの大きさに感動しました。座ってみている観客が掛け声や拍手でお祭りに参加している実感を味わえるサービス精神におどろきました。長崎は、卓袱(しっぽく)料理が有名です。和をベースにした中国やポルトガル、オランダの料理が入りこみ丸いお膳に多彩に並ぶのですが、これがなんとも楽しい。長崎人の豊かさを感じます。いわゆるちゃぶ台で食べるサザエさん一家はあのテーブルがあってこそ家族のぬくもりを感じます。大正時代には日本のあちこちにちゃぶ台はありました。人の気配をすぐ間近に感じられる円卓は人との距離を縮めます。私もお招きいただいたアーティック工房の吉松道晴社長、そしてお姉さまの林田静子さんと本当に親しくなりました。人の歴史は食の歴史。楽しい食事に時間を忘れ、時を刻みました。
感謝です。

平成14年11月25日