NO.6 淡路で伝統野菜シンポジウム
ふと気が付くと12月になっています。一体いつの間にと思うのですが、考えたら毎年同じように季節の移り変わりの速さに驚いているようにも思えます。
11月のスケジュール帳を振り返ってみると、2日に淡路の兵庫県立淡路夢舞台国際会議場で開かれた伝統野菜シンポジウムは楽しいイベントでした。
まさかとは思っていた大根までもが地中海生まれだったとは。
日本の野菜の多くは外国から海を渡ってきたそうですよ。
それにしても江戸時代の庶民の豊かさには学ぶことがたくさんあります。
暮らしを庭作りから変えると季節のことも身近になりもっと楽しくなりますよとおっしゃっていたのは当日のコーディネーター役をつとめられた淡路の奇跡の星の植物園プロデューサーの辻本智子先生。
今年は12月1日から1月13日まですてきなショーがあるようです。
当日のウェスティンホテル淡路のはなのの「伝統野菜弁当」は大好評でした。
又、11月12日連載している厚生労働省の公報誌のお仕事で訪れた滋賀大学の堀越昌子先生のアメノイオご飯と鮒ずしのおいしかったこと。
若い人にも伝えたい伝統料理は郷土のぬくもりそのものでした。過ぎ去ったスケジュール表の中に今年も宝物がたくさんありました。
平成14年12月9日
NO.7 疲れた時の癒し方
疲れた時の自分の癒し方、どうしていらっしゃいますか。私はやっぱり料理と花かな。
1日中食べ物の仕事をしているわけだから、作らなくても考えていたりしゃべっていたり・・・・・・。
でも好きです。撮影で立ちっぱなしで過ごした日も「ただいまぁ」って家に帰って手を洗ってうがいして服を着替えて、やっぱり流しの前につい立ってしまうんですね。
今、自分の中でちょっと気に入っているのがりんご紅茶。りんごをタワシで洗って皮ごといちょう切りにし、梅干しを干す時の大きなザルに一杯広げてお日様と風にあてます。この間は雨にあてて大失敗したけど、夜になったら入れて朝又出して2~3日。これひとつかみを水にいれて煮て、ぐらぐらしたら紅茶の葉を少々。茶漉しでこしていだきます。薄甘くて紅茶とよく合いますよ。
私、乾物や干物を作ったり、ジャム作ったりするのが好きです。
それからお花に癒してもらうことは多いですね。出張に出る前に花の疲れた姿のまま出てくると気になります。
とっときの話をひとつ。バラって葉っぱは元気なのに首だけうつむいてしまうことがあるでしょう。そんな時、私は思い切って短くしてお風呂のお湯の中に漬けるのです。自分が出る頃には水の入ったボール状の花瓶に移動させておくと、さあ1週間近くすばらしいバラ湯を楽しませてくれます。ぷかぷかと浮かぶバラに思わずほっ。いい香りです。不思議に3日目くらいになると幾分花びらは厚くなっているから楽しい。ぜひ試してみて。
平成14年12月23日
NO.8 「白井操の食べにおいでよ」連載最後は・・・
毎日新聞の木曜日の朝刊に「白井操の食べにおいでよ」というエッセイを書いて足かけ6年。
12月26日分の最後の原稿を送りました。
食べ物を食卓からみるといろんな事柄がとても具体的になって伝わりやすいように思います。
20年前に偶然が重なって初めての本が出てから「感動しい」の私は人の輪の中で、畑の中で、市場の中でどれ程たくさんの喜びに出会えたことでしょう。
料理という世界は職人としてみれば本来厳しい修行の世界なのでしょうが、生き物の命をいただき分かち合うということからみれば、なんと人の生きる姿を教えてくれていることでしょう。
最後の写真はお正月のお屠蘇を注いでいるシーンを選びました。
屠蘇器がなくても冷酒用のちろりで十分。なければドレッシング入れでも何でも。
黒豆、ごまめ、数の子も盛りつけられたおせち風景です。
若い人の中にはお屠蘇を知らない人もたくさんいます。
食事の中の行事は人と人を楽しく結びます。
あなたと食べられて幸せ。あなたのことを大切に思っています。だから元気でいて欲しいと…。
平成14年12月30日
NO.9 高校の特別講座で長年の私の謎が解けました。
私、前々から若い人たちに聞いてみたい不思議がいくつかたまっていました。
カメラの謎と、携帯電話の謎は先日解けたのですが、他にもいくつか・・・・。
その一、ルーズソックスはどういう仕組みなっているのか。何でずり落ちないのか?
その二、若者の髪型。お祭りの綿飴を袋に入れて、お土産に持ち帰って次の日に残った状態のような髪の毛。あの中途半端なふくらみはどうして保っていられるの?
その三、電車の中のドアの前に席が空いていても敢えて地べたに座る理由はどうして・・・・・?
わかりました!!
先日、兵庫県立尼崎北高校という学校の特別講座で、調理室で講習するチャンスがありました。
その時、若者から直接話しを聞いたり、実物に触らせてもらえたのです。すっきり!です。
若者には若者の理由があったのだなあ。
私がお礼にプレゼントしたのは、焼きたて熱々のキッシュ、香り高いチャイ、それからパルミジャーノ・レッジャーノのおろしたての味。
パルメザンチーズといえば、筒型の紙のケースに入ってるのが御馴染みかもしれませんが、本物のパルミジャーノ・レッジャーノは、匂いも味もちょっと違う。
他にも学校ではあまり登場しないだろうメニューを作りました。
みんなびっくりするくらい熱心に授業に参加してくれて、食べ物を一緒に分かち合う場面は若者とおばさんの距離を縮めてくれたようです。
おいしいものを共に味わう。同じ気持ちを共有する幸せは喜びや痛みも分かり合えるように思いました。楽しいひと時を味わいました。
お世話になった高校の先生達ありがとうございました。
平成15年1月13日
NO.10 アシスタント来海悦子、新聞連載します。
白井操クッキングスタジオのアシスタントの来海悦子ちゃん(「きまちえつこ」と読みます)が今年の1月1日から毎日新聞の家庭欄に、毎朝一つずつ料理やデザートを書くようになりました。
先生の私としては嬉しくて自分が書いているよりドキドキして朝刊を開いています。
彼女がスタジオに来て丸5年が過ぎました。前のアシスタントの園子ちゃんは今2児のお母さん。家庭のために腕をふるっています。
アシスタントは、悦ちゃんで3代目。みんな本当によく頑張ってスタジオを支えてくれる子たちです。誠実さは料理に表れます。
悦ちゃんのレシピを見ていただくとよく分かるのですが短い表現の中に言いたいことが一杯詰まっています。人は育つんですね。
私はアシスタントさんの青春の一部を借りているような気がする時があります。だから何か形に表れるありがとうが出来たらいいなと。
願わくば、心豊かな食卓をアレンジする人になって欲しいといつも願っているのです。
平成15年1月27日