株式会社中田水産 代表取締役社長 中田明浩さんをお迎えして
2012/6/22
愛媛の宇和海で鯛の養殖や鮮度の良いちりめんで知られる網元、株式会社中田水産、代表取締役社長の中田明浩さんをお招きしました。
美しい宇和海での養殖の様子など、映像を使い分かりやすく説明してくださいます。中田さんがこだわられるのは鯛のエサ。地元の漁師から小さなエビを仕入れ、エサに加工したものを与えるのだそうです。コストも手間もかかりますが、天然のエサをいっぱい食べてこそ、安全でおいしい鯛が育つと信念を持って取り組まれています。長年漁師として天然の魚を獲っておられた父上は「養殖」というだけでなかなか口にしてくれなかったそうですが、一口食べてそのおいしさに驚かれたという自慢の味です。
試食の「鯛の漬け丼」は鯛のお刺身にタレをかけて解凍し、新鮮なお刺身が手軽に食べられる一品。「ひとつひとつ鮮度を何より優先して作ります。だから難をいえば大量生産できないことですね。」と中田さん。「ちりめんじゃこでも鮮度がいいと、うろこが残っているので塩が身の中まで入らないんです。鯛の身も同じで、鮮度がいいと皮が強く塩が入りにくいため、塩辛くならない。味のおいしさにつながります。」と鮮度にこだわる理由を教えてくださいました。 今回もう一つの試食は「天然太もずく」。久米島の漁師、海人(うみんちゅ)に手摘みされたもの。湧水が豊富な久米島は海水温が一定で、透明度が高く、太陽の光が海の中まで届くため、しゃきしゃきとした歯ごたえの立派なもずくが育つ条件が揃っています。通年マグロや伊勢エビなどを獲る海人も、4月~5月だけは旬のもずくを獲るのだそうです。 「久米島でお話をお聞きした漁師さんは漁師になりたい若い人が減っているとなげいておられました。」との白井の話に「海に囲まれた国なのに、このままではおいしい魚が食べられなくなってしまいます。養殖もそうですが若い人がどんどん漁業にたずさわれる仕組みを考えていきたいと思います。」と頼もしく答えてくださった中田さん。最後に今後の夢を聞かれ「夢はないんです。自分が作ったものを「うまかった」と言ってもらいたい、それが自分の力になって、もっといいものを・・・とまた頑張る、正直なところそれだけなんです。」と日焼けした笑顔で。中田水産さんのちりめんじゃこも鯛も添加物のない自然そのものの味わい。そのことを裏付けるお人柄に納得です。セミナーの後、ちりめんじゃこの売り場は大変なにぎわいでした。
今回の試食は「鯛の漬け丼」「ちりめんじゃこ」「もずく」の3品でした。