白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

保護司 山口信博さんをお迎えして

2013/1/25 

297nishi-garden「山口さんは陶芸家でもあり、お菓子作りもできる多才な人。『きょうの料理・お父さんの台所塾』に出演された塾生でもあります。退職後は保護司になられ、初めて身近に保護司という仕事を知ることに。」と白井が紹介したのは山口信博さん。保護司とは犯罪を犯した人が更生し立ち直ることを支える人。身分は非常勤・無報酬の国家公務員。「保護観察中は月2回の面接が決められていますので、家にきてもらい話をします。ゲーム感覚で万引きをした少年には、万引きは窃盗であることを教えます。自分の居場所を持てるよう、仕事に就くこと、学校に通うことを勧めることも。一人の時は素直に話を聞いてくれる人がほとんどですが、約束をすっぽかす人もいます。」と難しい仕事をにこやかに語る山口さん。
挨拶などちょっとした声かけだけでも人や環境は変わると山口さんは言われます。「こんにちはと挨拶したり、状況にもよりますが勇気を持っていけないことを注意することで、誰かが自分を見てくれていると人は肌で感じるのかも知れませんね。」と白井。「話をするときは、対面ではなく並んで座わります。同じ景色を見ながら、というのが大切。何度も親を困らせる子の心には『こっちを向いて!』と無関心な親の気を引きたいという思いがあります。子供が『自分に興味を持ってくれている』と安心するように、親も子供への思いをちゃんと伝わるように表現してやることが大事だと実感します。」セミナーの後にも、山口さんが白井に語っておられたそうです。
心が痛むのは犯罪を繰り返すほど行き場が無くなるという現実。保護司として一番つらいところだそう。そんな中、担当した少年が定職に就き結婚して子供ができたと見せにきてくれる嬉しい知らせも。無事、保護観察期間が解除になる時には、一人一人に自作の湯のみを贈られます。「私はもともと人が好きなんです。独自の価値観ですが『どれだけ多くの人と会って来たか』ということを大事に生きてきました。」重い話題もある中、大らかに温かく人と関わってこられた山口さんのお話をお聞きしていると、改めて人と人とのつながりの大切さを深く感じます。優しい笑顔で地域や人を支えてこられた方の大きな懐にふれたひとときでした。
セミナー冒頭でご紹介した白井のレシピは、レシピ集の乾物特集から「切干大根のサラダ」を。ハムの代わりに長崎浪漫工房の焼豚を使って。2月13日出演予定のNHK『きょうの料理』からは「ピリ辛みそだれ」。鍋のタレだけでなく、グラデーションを楽しむゆがきキャベツと切り口が華やかな紅芯大根に添えて。それぞれ試食として味わっていただき、今回も和やかで盛りだくさんのセミナーに。料理は山口さんの器に盛り付けたもの。阪急のレシピ集や雑誌の白井の料理写真にも山口さんの作品は登場しています。

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