白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

農業法人株式会社REIMEI 代表取締役 蓑茂輝美さんをお迎えして

2013/3/29 

316nishi-garden今回お招きしたのは、安納芋発祥の地、種子島の安納地区で、さつまいもの在来種を作っておられる蓑茂輝美さん。ところが種子島からの長旅のお疲れか、セミナー当日の朝、ぎっくり腰で歩くことができなくなる・・・というなんとも残念なハプニング。白井の説得もあって、蓑茂さんもやるせない気持ちで後ろ髪をひかれながら病院へ・・・。
「種子島では、「さげ芋」といって、収穫後も天日干しをしてじっくりと熟成させ、甘さをさらに引き出すのだそうですよ」白井一人で始まったセミナー。今回の試食は「焼き芋」と「干し芋」。遠赤外線でゆっくり熱を加えた焼き芋は、甘くてとろっとした食感。安納地区で農家が守ってきた在来種「芋まろん」を使った干し芋は甘くて柔らか。
「ある芸能人のカップルがお忍びで種子島でバカンスを過ごした時に宿泊されたのは、蓑茂さんのご自宅だったそうで・・・」というくだりには会場もびっくり。ログハウスも営まれる蓑茂さんご夫妻。噂の2人を見つけたカメラマンが、種子島まで追いかけてきたため、ロッジが騒がしくなり、人目を気にせずゆっくりと過ごせるように・・・と誰もが自由に出入りができないご自宅を提供された蓑茂さん。周囲への配慮を忘れず、礼儀正しく振舞われる2人の人柄にふれ、もっと応援したくなったと語っておられたのだとか。
「前日に『そこは面白そうだから当日にとっておきましょう』と蓑茂さんから聞いてなかった話も・・・」と悔やみつつ、残りの時間は白井のフリートークを。
生産者が自ら作ったものを加工までして商品として企画する第六次産業が今推進されていて、そのためにも商品のよさを伝えることができる、”話せる”若い生産者が育ってほしいと感じたことや、韓国ではしなびた黄色い大根の葉を束ねたものがスーパーで売られているのを見て不思議に思い、後でそれを水で戻して普通に料理に使われると聞いて、食材を大切に使い切る心を忘れないようにしたいと思ったこと。会場で一節を朗読したのは、今読んでいる菊乃井・村田さんの本の話。器やうまみ、作法と料理にまつわる様々なことを、面白くご自分の目線で語られるのが興味深いことなど、他にも身近で印象に残った話題をあれこれと話す白井。
会場のお客様もこんな機会でしか聞けないことと突然のセミナーの展開を逆に楽しんでくださったご様子。この『あ・うん』の呼吸がこのセミナーの持ち味。ピンチが教えてくれたのは、いつもここに流れる温かな気配、和やかな空気のすばらしさでした。

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