フジッコ株式会社開発本部次長兼研究開発室長 工学博士 戸田登志也さんをお迎えして
2014/4/11
鰆にサヨリ・・・、西宮阪急の魚売場に春がいっぱい並んだ日のセミナーにお迎えしたのは、大豆の研究者、戸田登志也さん。「以前、きなこでニンニクを炊くと匂いが無くなったんです。で、大豆にそんな成分があるの?ってお伺いしたら、その性質に関連する学術論文や記事を集めて教えてくださって・・・」と白井。「白井さんとは長いお付き合い。いつも難しい質問が突然来るんです」と笑う戸田さんはフジッコ株式会社開発部門の重鎮。大豆の消費量世界一で、長寿を誇る日本人の食生活が欧米で注目され、大豆のアミノ酸の質が肉に劣らないことが広く知られるようになったそう。「イソフラボンは大豆以外に含まれる食品がほとんどありません。きなこ・むし大豆・豆乳・煮豆と用途が広く、日常的に様々な形で摂ることができる日本は、大豆という素晴らしい素材を持っていると言えます」イソフラボンは骨を守る女性ホルモン様作用や抗酸化作用を持ち、ガンや動脈硬化、更年期障害、骨粗しょう症など多くの病気から私たちを守ってくれます。「イソフラボンが女性ホルモンと似ていることから、一時欧米で摂り過ぎは怖いという風評がありましたが、大豆に関しては食べ過ぎて弊害が出ることは全くありません。たくさん食べても大丈夫。」と戸田さんから嬉しい太鼓判。今日の試食は昆布とかつおダシで炊いた煎り大豆ご飯とニンニク肉味噌。ニンニク肉味噌はきなこでニンニクを炊いて匂いを抑えています。
身近な大豆に質問も活発に。イソフラボンを多く摂れる食べ方は?という質問には「イソフラボンは水に溶けるので、水煮よりは煎り大豆、きなこ、蒸し大豆を使う納豆なども効率が高いと言えます。イソフラボンは胚芽にたくさん含まれています。」会場中のへぇ~の中「この方法は鍋のそばについていられる時にしかできないけど・・・」と白井がおいしい水煮の炊き方をご紹介。前日から水に浸たし、そのまま豆がひたひたに浸かるぐらいの少ない水から炊き始め、水が少なくなったら少し足すを繰り返し、最後に豆が水を全部吸い切るようにして仕上げます。「イソフラボンを逃さず炊けますよ」。戸田さんは次々と来る質問に丁寧に回答を。「国産大豆は大きくてふっくら仕上がるので煮豆などに。市販の煮豆でもほとんど国産が使われていると思います。外国産は粒が小さく揃っていないので、主に絞って油などに。搾りカスは家畜のエサになりますが、牛肉1kgに対して11kg、豚肉1kgなら7kg、鶏肉でも3kgの大豆などの飼料が必要といわれ、タンパク質の質は変わりませんので、大豆のタンパク質の方が地球にやさしいと言えます。」「大豆や黒大豆と言われる黒豆はたんぱく質が豊富ですが、インゲン豆、エンドウ豆はでんぷんが多く、含む栄養素が違ってきます。イソフラボンは大豆だけです」正確に言葉を選ばれる話し方から誠実なお人柄と研究者としての姿勢が伝わってきます。大豆の素晴らしさを学び、大豆を大切に食べて伝えてきた日本人の食生活をこれからも次の世代につないでいきたいと改めて感じたひとときでした。(文:土田)