第12話 日本のシクラメンは世界一
花屋の店先に赤、白、ピンクの色鮮やかなシクラメンの鉢植えが並び始めると、いよいよ今年も終わりが近づいてきたなぁって感じるのは私だけじゃないはず。それほどシクラメンという花は冬の室内を飾る鉢植えとして無くてはならない存在になっているよね。
最近では、室内向けの鉢植えだけでなく、温暖な地域では花壇にも植えることができるくらい寒さに強くて、コンパクトなものもたくさん出回るようになってきたね。
今では誰もが知っているこのシクラメン。でも、シクラメンという花は、明治時代になってから、ヨーロッパから日本に導入されたもので、そのころは英名のsow bread(雌豚のパン:豚が好んで球根を食べていたことから)を訳してブタノマンジュウ(豚の饅頭)と名付けられたんだけど、それじゃぁあんまりだって言うことで、その後、花の形からカガリビバナ(篝火花)っていう名を付けられたんだって! 何だかちょっとイメージ狂っちゃうね。そのころからしばらくは、高級な温室植物として扱われて、一般庶民の手に届くものではなかったんだね。戦後、徐々に一般化してきたんだけど、1970年代に入り日本の種苗会社が品種改良に力を入れるようになり、1975年に大ヒットした布施明の「シクラメンのかほり」の影響もあったのか、その後、シクラメンは冬の鉢物として確固たる地位を築いたんだね。
現在では、日本は、シクラメンの品種改良では世界のトップを走っているんだよ。