第31話 葉牡丹はキャベツの兄貴、ブロッコリーの弟???
丸葉系ハボタン 葉の切れ込みの深い系統
冬の花壇の代表格で、お正月の門松の根本締めには必ず使われるハボタン。このハボタンがキャベツの仲間だってことは知ってるよね。えっ、知らなかったって? ふ~ん、結構知らない人が多いみたいだから、じゃあ、ちょっと説明しようか。
実は、ケール、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、コールラビ等の野菜は、みんな地中海沿岸を原産地とする Brassica oleracea (ブラッシカ・オレラケア)という野生のケールのような野菜を起源としているんだよ。古代ギリシャやローマ時代には野菜としてではなく、胃腸の調子を整える薬草として利用されていたようなんだ。その後、9世紀頃になって野菜としてヨーロッパ中に広がったんだ。
日本には、江戸時代の前期頃にオランダから持ち込まれたらしいんだけど(たぶんケールのようなものらしい)、当時は日本人の口には合わなかったんだろうね(実際に、キャベツが一般に食べられるようになったのは戦後のことだからね)。だから野菜としてではなく、観賞用として改良されたんだよ。江戸時代は園芸文化がものすごく発展して、当時の日本は世界一の園芸文化や品種改良の技術を持っていたんだ。そんな背景もあり、オランダから持ち込まれたケールは観賞用として改良されていったんだろうね。因みに、キャベツの仲間を観賞用に改良したのは、世界広しといえども日本だけなんだぞ。その結果生まれたのが、そう、ハボタンなんだよ。
一方、ヨーロッパ中に広がったケールの仲間は、各地で改良が進み、葉を食べるキャベツ、花の蕾を食べるカリフラワーやブロッコリー、さらには肥大した茎を食べるコールラビなどに改良されていったんだよ。文化が違えば同じものでもその使われ方が随分違うもんだね。ということで、ハボタンはキャベツやブロッコリーと兄弟みたいなものなんだ。まあ、どっちがお兄さんでどっちが弟かは皆さんの判断に任せるよ。
さて、江戸時代にケールから観賞用として改良されたハボタンは、年末から早春までの間の長期間にわたり、花の少ない時期に庭先を飾る植物として重宝されてきたんだけど、今では世界中に普及して Ornamental Cabbage (観賞用キャベツ) という名前で冬花壇を飾っているよ。最近では、葉の表面の白い蝋質のようなもの(これをブルームといいます)が全くなくなって、テカテカと艶のあるハボタンが出回っているよね。ブルームがないので色が鮮やかで今までのハボタンのイメージを変えるほど華やかなので、是非みんなも育ててごらん!!
縮緬系ハボタン 最近流行のミニハボタン