白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第45話 キンモクセイに実は成るの?

 そろそろ街のあちこちから馥郁とした香りが漂ってくる頃だね。香りをかいで初めて、キンモクセイの存在を知ることが多いよね。
このキンモクセイ、公園樹や庭木として至る所に身近に植えられていて誰もが知っている花木だけど、この花の実を見た人はほとんどいないはず。
それもそのはず、日本にあるキンモクセイには実は成らないんだよ! どうしてかって? では、いつもの種明かしと行こうか。
キンモクセイは中国原産の常緑小高木で、江戸時代に渡来したと言われているんだ。キンモクセイの香りは甘くて強いことから、臭いのきつかった昔のトイレの芳香剤として一世を風靡したんだけど、逆にそれが災いして、トイレのイメージが強すぎることから、今の芳香剤からはほとんど姿を消しているんだってさ。何事も過ぎたるは及ばざるが如しだね。
さて、本題に戻って、どうして実が成らないのか? それは簡単なお話なんだよ。実はキンモクセイは雌雄異株(しゆういしゅ)といって、雄花の咲く株(すなわち雄株)と雌花の咲く株(すなわち雌株)が違うんだよ。江戸時代に中国からわが国に導入する際に、香りの強い雄株ばかりを導入したことから、日本には雄株しか存在しないんだ。だから日本のキンモクセイには実が成らないんだよ。キンモクセイは香りが命だから、雌株がなくても不自由しないんだね。聞いてしまえば、な~んだそんなことかい! だったかな。
でも、これと同じような話があって、みんななら、冬になると深緑の葉に赤い実をつけるアオキっていう低木を知っているよね? このアオキは日本原産の木で、常緑で寒さに強い上に、年末には真っ赤な大きい実をつけることから、西洋の人たちから見ればクリスマスカラーの木なんだよね。これが江戸時代の末期に日本にやってきたイギリス人の目に留まり、早速、イギリスに持ち帰ったわけさ。ところがどっこい、何年も何十年たってもイギリスでは赤い実が成らないんだよね。赤い実が成っている株を大量に持ち帰ったのにだよ! みんなはもう分かっただろう? そう、ご明察! イギリスに持ち帰った赤い実の成る株は総て雌株だったってことさ。kinmokusei-hana

キンモクセイの花(雄株に咲く雄花)

kinmokusei-kiキンモクセイの大木

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