白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

2015.5.8 有限会社井上商店 社長 井上 賀夫(よしお)さん、正子さんご夫妻

2015/5/13 

阪急ギフトカタログでも大人気の「わかめ麺」。鳴門わかめがたっぷり入った緑の麺を開発された素敵なご夫婦、井上商店 社長 井上賀夫さんと奥様の正子さんをゲストにお迎えしました。
先日関西の人気番組で商品が紹介された際には、1000件を超える注文が殺到し、売り切れが続出。「取材は慣れないことでしたが、いつもやっていることをちゃんと伝えられたと思います。」「放送後、電話対応に必死でしたが、お問い合わせを頂けることがありがたいな、うれしいなと」大きなチャンスに接しても飾らないお二人の言葉から誠実なお人柄が伝わります。
試食はしょうがとネギでシンプルに。「冷凍なのでストックできるのも便利。ささ身に塩と酒をふりかけ、レンジで加熱したほぐし身をのせたり、卵焼きを四角くカットして散らし緑の麺に彩りを添えても。つゆにトマトジュースを足すと旨みの相乗効果でそのおいしさに驚かれるはず」と白井。
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もちもち、つるつるの食感を生み出すのは、鳴門海峡の新鮮なわかめの力。「独自の食感とわかめの緑の色を出すのが一番難しかった」と賀夫さん。鮮度があっという間に劣化するわかめ。アルギン酸、フコイダンといった栄養はそのままに、わかめをペースト状に加工し、それだけで麺を練る技術は賀夫さんのオリジナル。「曽祖父が会社を創立したのは110年前、その後アイスキャンデーを扱い始めた祖父が、ゆでたての麺は冷凍しても味が劣化しないことに気づいて、試行錯誤の末、60年前にスープと麺がセットになった冷凍ラーメンを開発し大ヒットしたんです。そのすぐあと発売になったチキンラーメンが普及して消えてしまったんですけど・・・」冷凍麺のアイディアは賀夫さんに受け継がれ「わかめ麺」として大ブレイク。
「お茶ノ水博士になりたかったんですよね」ロボットや機械が大好きな学究肌の賀夫さんは研究開発を担当。食品と機械を二本柱に会社を継がれたのは30歳を過ぎてから。一流の会社ができないからと手を付けないことに敢えて取り組むこと、淡路島の文化を生かして新しい地元の食文化に育つようなことを手掛けたいとコツコツと研究開発を重ねて来られました。「おいしいものを少しでも多くの人に知ってもらいたい。喜んでもらいたい」と正子さん。営業というご主人が苦手な分野を引き受け、仲良く頑張ってこられたお二人。「機械の分野は教えて伝わるものではなくて、自分で新しいことに取り組む人でないと難しい。でも食品の分野は地元の素材を使って昔から食べてきたものを扱うので、作り方を確立すれば、次の世代に伝えやすいかなと思います。淡路の特産品をさらにおいしく食べつがれるものを作っていきたいですね。」と夢を。
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ナチュラルセラーの冷凍コーナーに並ぶ「わかめ麺」。お客様アンケートでも「おいしい」「よく買います」とリピーターの声がたくさん寄せられました。「ギフトカタログや私のおすすめコーナーにある商品を見ると、作っておられる、いろんな方々のお顔が次々と浮かぶんです」と白井。安全で、体にもやさしく、おいしいものを作るのは志が要る大変なこと。そんなご苦労を笑顔で乗り越える絆が、賀夫さんと正子さんとのほのぼのとした睦まじいやりとりから感じられる穏やかな時間になりました。
(文:土田)

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