白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操発スタジオ*トピックス

「地産地消」の良さ、楽しさ

2009/9/29 

107chisan?「地域特産物販売戦略研修会」これだけ見るといったいどんなお堅い会かとお思いでしょう。兵庫県下12地区の農業改良普及員の代表者が関西電力はぴeライフプラザ神戸に集合し、それぞれの特産物や加工品を持ち寄り、みんなで試食しアイデアを出しあう初めての会を試みました。もちろん、兵庫県「農」担当参与の保田先生にもご出席いただきました。
はぴeライフプラザ神戸には、最新のIHクッキングヒーターから食器一式まで備えた本格的なキッチンスペースがあり、その場で調理ができるので、試食し合評するにはこの上ない会場です。 最初はどのような展開になるかと農業改良普及員の皆さんは、少し緊張されていましたが、試食をしながら、活動報告や課題などを順番に発表し意見を交わすにつれ和やかな雰囲気になり、活動成果を報告しあう前向きな時間になっていました。
会場はさながら小さな見本市のようです。シカ肉のしぐれ煮、マコモダケ、ジャンボピーマン、バジル、とふめし、米粉めんetc・・・、面白い食材が並びます。どれをとっても、地域の農家や生活改善グループと力をあわせ、特産物を育てようとする意気込みが伝わってきます。

この成功例として広く知られているのが豊岡の「こうのとり米」。コウノトリを自然に返す活動が行われている豊岡では、コウノトリのエサであるドジョウやフナが生息できる環境を整えるため、早くから無農薬での米作りに熱意を持って取り組む農家が多くありました。「こうのとり米」は2002年の誕生以来、生産だけではなく、品質や流通の確保に至るまで、努力と工夫を重ね、いまでは完全無農薬のお米として、全国から引き合いがくる人気のお米になりました。
会場で保田先生が引用された「生産とは消費を以って完結する」という言葉通り、作り手にも、買い手・食べ手を意識することが求められる時代になってきたのでしょう。自分が買う人になって試してみることで、そのとき感じたこと、思ったことから、得られる情報の大切さは自分の経験からもよく分かります。

この会で、みんなが知恵を出し合い、県下の生産者が農業改良普及員を通じて連携することで、小さなきっかけがたくさん生まれ、停滞した時の解決の糸口や、新たな可能性への一歩につながると信じています。
10月末には、私の支えるNPO法人フィールドキッチンでも「ひょうごの味わいミニサミット」と題して、ひょうごの味を支える方々を農業・漁業・流通・報道の各分野からお迎えする、試食付きの自由なフォーラムを企画しています。面白い意見が飛び交う楽しい会にしたいと、準備を進めています。この会に触れて「地産地消」の良さや楽しさを知っていただき、買い手もまた、地元のおいしいものを育て、守るために大きな役割を担っているということも、伝わればいいなと思っています。

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