株式会社やまつ辻田 辻田浩之社長をお迎えして
2012/7/27
国内産の唐辛子にこだわり、七味や山椒といった日本で昔から親しまれてきた香辛料を手がけられる株式会社やまつ辻田の社長辻田浩之さんをゲストにお迎えしました。
「鷹の爪が日本に伝わったのは江戸時代。西高野街道沿いで店を100年続けてきました。」と4代目の辻田さん。その姿が鷹の爪にも似た小ぶりの唐辛子。「小さいので5000個摘んでも1kgにしかならないため作る人が減ってしまった。本来『鷹の爪』といえばこれなんです。」。丹波の黒ゴマ、青じそ、実生のゆず、金ゴマ、青のり、けしなどと合わせて、会場で作ってくださった七味を、しょうゆをたらした冷や奴にぱらり。ほんのひとつまみで広がる格別の辛さと風味を会場のお客様にも味わっていただきました。 折りしも当日は土用の日。鰻の薬味として欠かせない山椒の手ぶるいも見せてくださいました。山椒の香りが会場にふわ~っと漂います。一般に出回るのは和歌山などでたくさん獲れ、大きな粒がたわわに実る「ぶどう山椒」。佃煮によく使われるのは、粒が小さくて香りの良い「朝倉山椒」なのだそう。4~5月の芯が柔らかい実は、塩水で湯通ししてアクを抜き佃煮に、7月に収穫したものは陰干しし皮だけにして石臼で挽いて粉に、と収穫時期で使い分けを。今日のために特別に粉にしてくださった山椒を、焼いた新レンコンにふって試食に。色も香りもなんとも爽やか。
「剣の道に通じるものはありますか」と剣道の道場も持たれる辻田さんに白井がたずねます。「剣は刀と同じですから一振(ひとふり)に命を懸けるが原点。この一回の調合に命(情熱)をかけるということをいつも意識しています。これは剣道でも仕事でも同じ。いつも精一杯、今作った七味は今までで一番いい出来になったと思えるような仕事を心がけています。」午後からはコトコトステージにも立たれる辻田さん。「午後に作る七味も今までで一番のものになりますよ。」と笑顔で。
「近頃はタイムやバジルなど外国生まれのハーブが注目されることが多い中、日本にも伝統のハーブと誇れるものがたくさんあったということが改めて思い起こされました。この大切なものをずっと守っていきたいですね。」と白井。まさにぴりりと爽やかに効いてくる七味や山椒の風味のように、日本人が忘れていた大切なことが、辻田さんのそのたたずまいからも伝わってきました。