食withフォーラム報告!
2013/12/14
12月9日にグランキューブで開かれた「食withフォーラム」。『見直そう日本食文化-高野豆腐でおいしく健康に-』をテーマに医師の鎌田實先生の講演とパネルディスカッションがあり、先生もパネリストの一人として出演しました。応募が多く貴重な参加証を手に私も聴衆の一人として参加してきました。長生きするだけじゃなく幸せに日々を過ごすことの大切さや、高野豆腐の持つ栄養・活用方法を知るいい機会になりました。皆さんとても熱心に耳を傾けられ、中身の濃いフォーラムでしたので、簡単にレポートで報告いたします。
「食withフォーラム 『見直そう日本食文化-高野豆腐でおいしく健康に-』」
幸運な400名の参加者がつめかけた会場。第一部、鎌田實先生の基調講演「幸せで健康で長生きの秘訣」から始まりました。リラックスした雰囲気を醸し出す鎌田先生の物腰に会場の空気も和らぎます。
貧しかった養父母の反対を押し切って進学をされた時に、「自分の力で生きるならお前は自由だ。貧しい人が医者にかかる時にその気持ちがわかる医者になれ」といわれ力のある人の正論や正解だけにならないことを心がけてこられたそうです。
初めての赴任先で、脳卒中の救急患者を救命した後、右半身が不自由で野良仕事ができなくなった患者さんの苦悩にふれ、患者さんがどんな生きがいを持って生きているかを知って治療することの大切さを学ばれます。やはり病気にならないのが一番と考え、予防に力を入れ、脳卒中の多発地帯であった長野県を長寿日本一の県へと成果を上げられます。
食事を患者さんの家で一緒にすることで、地域や家庭の食生活を知り、患者さんとそのご家族の心の痛みも分ち合えるようになったと鎌田先生。大切なことは食生活の改善と心のリセットと言われます。
①減塩(長野は31位。ダシ文化がない地域。具だくさん味噌汁など工夫)
②野菜をたくさん摂る(腸の免疫細胞を支えるのが食物繊維。きのこ・野菜・海藻)
③古い食文化を守っている(寒天・凍み豆腐(高野豆腐)など伝統食材の力)
④運動(早歩きと遅歩きインターバル速歩)
⑤生きがいを持つ(長野は高齢者就業率日本一)
高野豆腐は壊れにくいレジスタントタンパクを多く含み、コレステロールや中性脂肪を排出し、濃度を下げるのだそうです。亜鉛(新陳代謝の促進)、鉄分(増血)、カルシウム(骨粗しょう症の予防)、食物繊維(免疫力を高める)も豊富に含み、ご自宅では鍋にもいれておられるそうです。
また、心のリセットのために、副交感神経の時間を一日の中でときどき持つことが大切とも。ゆっくりした音楽を聴く、ぬるいお風呂にゆっくり入ることなどを挙げられ、会場でもみんなで手を上げてゆっくりとした体操を教えてくださいました。
美味しいもの、美しい風景などへ感動したときにでる幸せホルモンと呼ばれるセロトニン、心の通うスキンシップがあったときや誰かを喜ばせたときにでるオキシトシンというホルモンを紹介し、長寿のためには地域のために力をつくしたり、自分の役割を持つことなど、人と人との絆の大切さを説いておられました。
放射能被害での余命わずかのチェルノブイリの子供が食べたがったパイナップルを寒い雪の中を根気よく探し届けた日本人看護婦との心の交流を描いた絵本の話から、食は人と人をつなげる文化と言われました。
イラク・福島・シリアの子供達の医療支援の募金、「ぐるぐるつながるチョコ募金」にも力をそそがれる鎌田先生。柔らかな言葉の中に大きな信念と力を感じたひとときでした。
第二部のパネルディスカッション「見直そう食文化」-高野豆腐でおいしく健康に-は、パネリストに京都光華女子大学健康科学部健康栄養学科教授の廣田孝子先生、白井先生が参加し和気あいあいと。
料理を楽しむ男性が増えてきたこと、日本食が世界遺産に登録されるなか、料理人の料理だけでなく、言葉を交わし空間を共有して毎日の食卓で食文化を伝えることが大切、また懐紙の折り方で慶意と弔意を表現する方法など、日本の食文化の奥行きも大切にしたいと白井。廣田先生は日本食の長所として①低カロリー②脂肪が少ない③コメが主食④海産物が多い⑤大豆・野菜が多い反面、短所としては①塩分が多い②カルシウム不足③高齢者の良質タンパク質不足と栄養学の立場から。大阪生まれ大阪育ちと愛着ある大阪の長寿ワースト1が残念と、楽しく明るい口調で。
高野豆腐については、だしだけで戻しても上手く炊ける。怖がらずに使ってみることが大切。と白井。粉状にしたものは熟れすぎた柿など果物を炊いてソースにしたものに加えるとペースト状にしてくれるとオススメの方法を。
廣田先生は骨密度を保つためにも高野豆腐は有効と、高野豆腐1個半を食べると、一日必要な摂取量のたんぱく質22%、カルシウム24%、鉄15%、亜鉛13%、コリン30%、ω-3脂肪酸28%を摂ることができると教えてくださいました。ω-3脂肪酸はEPAなどを含むに血管を若く保ち、血液サラサラに。
廣田先生は老化は酸化 体の中のサビ 活性酸素(フリーラジカル)に対抗する栄養素はすべて身近な食材から摂ることが可能とも。「新しい食材に飛びつく前に、身近な昔からある食材の良さを忘れないで。日本の長寿世界一は日本食の文化が支えています。栄養バランスの良さはユネスコの和食の世界遺産選定の大きな理由ですよ」と最後に。
白井は、「日本のおすそ分け文化を再び大切にすることで、若い人が日本の味を知るきっかけになったり、周りと仲良くなって互いのピンチに助け合えるようになればいいですね。」とおすそ分けの大切さを。それぞれの個性が響きあう楽しい時間になりました。