白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第53話 春の匂い~里山編~

春先の3月も半ば頃になると、都市郊外の住宅地でたびたびガス漏れ騒ぎが起こるんだよ。
そこの住人から「近所で都市ガスの匂いがする、ガス漏れじゃないか?」と言う通報がガス会社に届き、急いで駆けつけたガス会社がくまなく調べてもガス漏れはしていない。でも、都市ガスに似たような匂いがどこからともなく漂ってくる。よくよく調べてみると、その匂いは住宅地の裏山から漂ってきている。というお話。
さて、この都市ガスのような匂いの元は何か分かるかな? 最近ではこの話がかなり知られるようになってきたから、聞いたことがある人もいるよね。実はこの匂いを発する犯人はヒサカキという樹木の花なんだよ。
春の匂い 里山編 ヒサカキの葉 春の匂い 里山編 ヒサカキの花
一般には都市ガスの匂いと言われることが多いんだけど、地域によって、また人によって感じ方が違っていて、プロパンガスの匂いから始まって、猫のおしっこの匂い、インスタント塩ラーメンの粉末スープの匂いって言う人までいるんだぞ。
僕は、若い頃はよく身近な里山に散策に行ったりしてたんだけど、3月になって山に入ると、この花の匂いが漂ってきて、ああ、春が来たんだなあって思っていたんだよ。決していい香りではないけど、特徴のある匂いだから、一度この花の匂いをかげば、誰だって覚えてしまうこと間違い無しだね。
春の匂い 里山編 ヒサカキの花(拡大) 春の匂い 里山編 ヒサカキの果実(拡大)
ヒサカキは関東以西の低山帯なら、どんなところでも生えている樹木で、日向でも日陰でも、乾燥したところでも湿ったところでも、常緑で環境適応性が強く丈夫で育てやすいため、生け垣や庭木として使われることもあるんだ。
でも、ヒサカキが一番よく使われているところは神棚かな。本来、神社や神棚、神道の行事などにはサカキ(榊)が使われるんだけれど、サカキは暖地性の樹木で、関東以西の暖かい地域にしか自生していないことから、ヒサカキを代用として使っている地域も多いんだよ。ヒサカキって言う名前も、サカキよりは小ぶりなので、姫榊(ヒメサカキ)と名付けられ、それが訛ってヒサカキになったって言うわけさ。
みんなも、桜の咲く前の里山にハイキングに行って、ヒサカキの特長ある春の匂いを嗅いでごらん!
春の匂い 里山編 サカキの葉 春の匂い 里山編 神棚に供えられたサカキ

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