ウツギの仲間たち
♫ 卯の花の 匂う垣根に
時鳥(ほととぎす) 早も来鳴きて
忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ♬
ウツギの花(拡大)
これはみんなもよく口ずさんだ童謡もしくは唱歌「夏は来ぬ」の一節だよね。
この冒頭に出てくる卯の花とは、もちろん、みんなもよく知っている、そう、ウツギの花だね。
ところで、ウツギという名前のついた植物がたくさんあるのを知っているかい? 代表格であるアジサイ科のウツギに加えて、同じアジサイ科のノリウツギやバイカウツギ、スイカズラ科のタニウツギやハコネウツギ、フジウツギ科のフジウツギ、ミツバウツギ科のミツバウツギ、ドクウツギ科のドクウツギ等々、挙げればきりがないほど次々と出てくるけれど、この辺で止めておくよ。
ウツギ(アジサイ科)
ノリウツギ(アジサイ科)
バイカウツギ(アジサイ科)
タニウツギ(スイカズラ科)
ハコネウツギ(スイカズラ科)
フジウツギ(フジウツギ科)
これらの花の名前を訊ねられたときには、「これは○○ウツギという名前なんですよ」って説明すると、まず間違いなく、「へぇ~、これもウツギの仲間なんですか? ウツギと花の形が全く違いますねぇ。」といった反応が返ってくるんだ。 そりゃあそうだよね、名前にウツギってのは付いているけど、全く血のつながりもない、親類縁者でもないもの同士なんだから、花の形が違っていて当たり前。 人はどうして、こう名前に騙されてしまうんだろうね、みんなは大丈夫かな? 人間でも、同じ名字でも赤の他人同士なんてざらにいるだろう。
じゃあ、このウツギたちはどうしてウツギと呼ばれているんだろうね。それはウツギという言葉を理解すれば簡単なこと。ウツギは漢字で書くと「空木」となるんだけど、勘のイイみんなはもう分かっただろう? そう、ウツギたちはみんな枝や幹の中心が空洞になっているのさ。そうストローのようになっているってことなんだよ。これを昔の人は空木(うつぎ)って呼んだんだね。
ウツギの枝
この空洞になる特徴を利用してつくられたのが、ノリウツギの煙管(キセル)やパイプらしいんだけど、最近はほとんど作られなくなっているので、ワシも見たことはないのさ。
ウツギの仲間の中でも、特に注意しておかなくちゃならないのが、ドクウツギ。これは、トリカブト、ドクゼリと並んで、日本の3大猛毒植物の一つといわれており、この実を食べるとイチコロであの世行きだから、十分気をつけるようにな!
ドクウツギ(ドクウツギ科)
ちなみに、旧暦の4月を卯月っていうんだけど、これはウツギの別名である卯の花の咲く月だから、そう呼ばれるようになったんだってさ。
ウツギの樹形