白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

ムッシュ・フルーリ花探検 第10話 ダリア

「ムッシュ・フルーリの花探検 in フラワーセンター」
吾輩、ムッシュ・フルーリは、実は、 何を隠そう兵庫県立フラワーセンターという植物園の園長なんだ! 今回からは、我がフラワーセンターが誇る4,500種類にも及ぶ膨大な植物コレクションの中から、 その季節ごとに咲くとっておきの一品を紹介していくぞ!  栽培が難しくて国内では滅多に見ることのできない花、 形が奇妙で花らしくない花、普段何気なく目にしているけど、実はこんな変わった性質がある花、 そして世界中でフラワーセンターでしか見ることのできない植物などなど、次々と興味深い花たちを紹介していくから、楽しみにな!

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと秋の花探検!
加西市にある兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長の植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。
フラワーセンターのお花とムッシュフルーリに会いに行きませんか。
(参加の皆様には会場で操のさんのレシピプレゼントもありますよ。)
『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
10/12(土)、11/23(土)、12/14(土)
(すべて13:30~。ご参加には予約が必要です。)
●「予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)
●ただいま「花咲く秋のいろどりフェア」開催中10/1(火)~11/17(日)

第10話 ダリア
10月の声を聴くと、あれだけ粘りこんでいた残暑も、さすがに観念したみたいだね。 さわやかな秋晴れの下、フラワーセンターにも秋を代表するダリアが咲き乱れる季節がやってきたぞ!
フラワーセンターでは、10月1日から『花咲く秋のいろどりフェア』と題して、入園者に秋に咲く様々な花々を楽しんでもらえるようにしているんだ。なかでも、圧巻は「ダリア展」! 四季の花壇全体に100品種約1,500本もの、大小さまざまなダリアが咲き乱れているぞ!ぜひ見に来てほしいな。
と言うことで、今回はダリアについて蘊蓄を語るとするかな。

(フラワーセンターのダリア展より)

さて、ダリアっていう花は、もちろんみんなは知っているだろうが、花をイメージできなくても、ダリアっていう花の名前はほとんどの人が聞いたことがあるんじゃないかなぁ。それくらいポピュラーな園芸植物なんだな。
ダリアは、メキシコの高地が原産の球根植物で、ヨーロッパには、1789年にスペインのマドリード王立植物園に導入され、翌年の1790年に初めて開花したらしいぞ。日本には、オランダから長崎に持ち込まれたのが江戸時代の天保の頃(1840年頃)だったようだな。

(フラワーセンターのダリア展より)

ダリア(Dhalia)っていう名前は、みんなもよく知っているスウェーデンの植物学者リンネの弟子のアンデュ・ダール(Anders Dhal)にちなんで命名されたんだな。このDhaliaは、実は学名でもあるんだけど、江戸末期に日本に導入された際に、海外からやってきた非常に豪華な花を見た日本人は、天竺からやってきた牡丹のように美しい花なので、「天竺牡丹(テンジクボタン)」という名前を付けたんだな。この「テンジクボタン」ていう名前は、今でも正式な和名なんだぞ。でも、ほとんど知ってる人はいないけどな。

ダリアはメキシコから中央アメリカの高地に36種ほどが自生しており、そのうちの数種類を交配して、今の園芸品種が育成されたんだ。ダリアの園芸品種は、ヨーロッパを中心に1800年代から育成され続けていて、その後アメリカで品種改良が盛んになって、現在では英国王立園芸協会(RHS)に登録されているものだけで、5万7000以上もの品種もあるんだぞ。ダリアは栽培植物の中で、最も品種数の多い植物として知られているんだ。

(フラワーセンターのダリア展より)

数万以上の品種があるダリアだから、その花型も非常にバラエティに富んでいることから、今、品種改良が最も盛んなアメリカにおいて、花型による分類がなされているんだ。参考までに以下に書いておくけど、説明だけでは解りづらいよな。

ダリアは球根植物って言ったけど、栽培したことのある人なら、どんな球根か知ってるよな。でも、見たこともない人もいるだろうから説明しておくと、ちょうどサツマイモと同じような形をしている塊根という球根なんだ。塊根、すなわち根っこに養分をためている球根で、サツマイモのほかには、キクイモやヤーコン、それに今、若者の間ではやっているタピオカの原料となるキャッサバなんかがあるよな。

晩秋に掘り上げたダリアの株(数多くの塊根ができている)

ダリアの栽培自体はそんなに難しくはなく、水はけのよいところで、日当たりさえよければほとんど手間はかからないんだ。ただ、茎があまり強くないので、支柱を立ててやったほうがいいよな。
ダリアの栽培で注意する点が一つあるんじゃが、それは花が終わって、霜が降りる頃に球根を彫り上げて春まで保管するんじゃが、春先に分球する際に必ず、茎の根元にあるクラウンという部分をつけて分球することなんじゃ。そこに次年度に発芽する芽があるので、クラウンを切り離して芋だけにしてしまうと、芽が出てこなくなるんだぞ。これには十分に注意するようにな。
 出典:「サカタのタネ」園芸通信

ダリアの球根を生産している山形県や秋田県に大産地があるけど、我が兵庫県内にも小規模ながら歴史の古い産地があるんだ。宝塚市の北部に佐曽利(さそり)地区というところがあり、そこでは球根の生産もさることながら、「宝塚ダリア園」というダリアの花摘みができる施設も運営しているんだぞ。
とにかく、ダリアは秋が一番きれいだから、是非、フラワーセンターに見に来るようにな!
 宝塚ダリア園

操の「へぇ~!」
ふむふむ、ダリアってメキシコの高地で生まれて、ヨーロッパで育って、江戸の頃には日本に入ってたんですね~。汽車の車窓から見える畑に咲く花には必ずといっていいくらいダリアの花がありました。タチアオイやオレンジ色のコスモスと一緒に目に浮かびます。
4~5年前、パリの大通りに面した公園は、素敵なダリアだらけでしたよ。品種改良されたダリアは近頃花屋の店先や花のカレンダーでも大活躍ですね。フラワーセンター行きたいなぁ~。

「ダリア」を見に行こう!
兵庫県立フラワーセンターはこちら>
ただいま「ダリア展」開催中
10月1日(火)~10月31日(木)【四季の花壇他】
大きく色鮮やかな花を咲かせるダリア100品種1500株を植栽展示します。 花色は赤やオレンジ、黄、紫などバラエティーに富み、花の形もシングル咲き、ポンポン咲きやカクタス咲きなど様々なダリアが楽しめます。

ムッシュ・フルーリは白井にとって緑の知恵袋のような存在。バックナンバー「ムッシュ・フルーリ緑の扉」にも植物の知りたいコトが満載です。

<アメリカ・ダリア・ソサエティのダリアの花型による分類>
1. フォーマル・ディコラティブ(幅広い花弁の万重咲き)
2. インフォーマル・ディコラティブ(花弁に変化のある万重咲き)
3. ストレート・カクタス(細花弁の万重咲き)
4. インカーブド・カクタス(細花弁が内側に彎曲したもの)
5. セミ・カクタス(ディコラティブとカクタスの中間)
6. ポンポン(管状の花弁が球状に万重咲きになったもので大きさが5cm程度)
7. ミニチュア・ボール(5から9cmほどのポンポン咲き)
8. ボール(9cm以上のポンポン咲き)
9. アネモネ(丁字咲きのキクに似た花)
10. シングル(一重咲き)
11. オーキッド(一重で花弁が細く丸まったもの)
12. コラレット(花弁のもとに副花弁があるもの)
13. ピオニー(半八重咲き)
14. ウォーターリリー(スイレンに似た花)
15. フリルド(花弁の先がレース状になったもの)
16. ノベルティダリア(それ以外のもの)

 

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