白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

ムッシュ・フルーリ花探検 第11話 デンドロビウム

「ムッシュ・フルーリの花探検 in フラワーセンター」
吾輩、ムッシュ・フルーリは、実は、 何を隠そう兵庫県立フラワーセンターという植物園の園長なんだ! 今回からは、我がフラワーセンターが誇る4,500種類にも及ぶ膨大な植物コレクションの中から、 その季節ごとに咲くとっておきの一品を紹介していくぞ!  栽培が難しくて国内では滅多に見ることのできない花、 形が奇妙で花らしくない花、普段何気なく目にしているけど、実はこんな変わった性質がある花、 そして世界中でフラワーセンターでしか見ることのできない植物などなど、次々と興味深い花たちを紹介していくから、楽しみにな!

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと秋の花探検!
加西市にある兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長の植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。
フラワーセンターのお花とムッシュフルーリに会いに行きませんか。
(参加の皆様には会場で操さんのレシピプレゼントもありますよ。)
『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
11/23(土)、12/14(土)、1/11(土)
(すべて13:30~。ご参加には予約が必要です。)
●「予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)
●11/17(日)まで「花咲く秋のいろどりフェア」開催中

第11話 デンドロビウム
さて、今月はデンドロビウムの話をしようか。どうしてデンドロビウムにしたかっていうのは、後で種明かしをすることにして、みんなはデンドロビウムって花がランの仲間ってことくらいは知っているよな? それなら話は早いよ。
ランの仲間は、非常に種類が多くて、しかもその形態や花の形もすごくバラエティに富んでいるので、一口にランと言っても、みんなが想像する花は人によって違うんだな。
ランの仲間は、分類上、単子葉植物のラン科というグループに属しているんだけど、その数何と2万種~2万5千種!!すごい数だろう? 地球上の植物が23万種と言われているから、その約1割がランなんだぞ!! 南極と北極以外の地球上のどこにでも、野生のランが自生しているんだ。
因みに、ランのことを英語でオーキッド(Orchid)って言うんだけど、これはギリシャ語のOrchisが語源で、睾丸すなわちタマタマっていう意味なんだぞ。ランのバルブ(偽球茎)の形が似ているからなんだってさ!

さて、ランの話はそれくらいにして、本題のデンドロビウムの話に移ろうか。デンドロビウムっていう名前は、ラン科のデンドロビウム属に属している仲間の総称で、これまた1000種以上の仲間がいる、ラン科の中でもすごく大所帯のグループ何なんだ。だから、デンドロビウムと一口にいっても、これまたいろいろな形態や花の形があるので、いくつかのグループに分けられているんだよ。

 
デンドロビウム・ノビル系

まず、みんなに一番なじみがあるのは、ノビル系というグループかな。一番古くから園芸化されたグループで、昔はデンドロビウムと言えば、このグループを指していたもんなんだ。そして次に園芸化されたのは、デンファレ系って呼ばれているグループで、これはデンドロビウム・ファレノプシスという野生のランを中心に交配して園芸品種化されたもので、その名前を縮めてデンファレとなったわけさ。
 
デンドロビウム・ファレノプシス系(デンファレ)

この他にもキンギアナム系やフォーミディブル系やカリスタ系などのグループがあるけど、ノビル系とデンファレ系の2大グループが園芸品種のが大部分を占めているので、ここでは省略するね。
これまた因みに、デンドロビウムっていう名前は、ラテン語のデンドロン(木)とビウム(生きる)に由来していて、デンドロビウムのほとんどの種類が木の上に着生して生えていることから付けられたのさ。

ところで、今日の話題は、このデンファレ系のデンドロビウムなんだけど、ようやくここまでたどり着いたぞ! それでは、ここで、どうして今月の話題がこのデンドロビウムになったかっていう種明かしになるんだ。

実は、兵庫県立フラワーセンターは、なんと、あの世界遺産で有名な植物園、「シンガポール植物園」と1980年から姉妹提携関係を結んでいて、今まで様々な交流事業を行ってきたんだけど、来年、2020年には40周年を迎えることになるんだな。それを記念して、今年はそのプレイベントとして、お互いの植物園が所有している貴重な植物コレクションを交換することにしたんだ。フラワーセンターからは、もちろん世界に誇るコレクションである食虫植物のネペンテス(ウツボカズラ)のオリジナル品種を贈ったんだけど、シンガポール植物園からは。オリジナルのランの品種を贈ってもらったんだ。その中に、例のデンドロビウムがあって、その園芸品種の名前が、「Masako・Koutaishi・Hidenka」そう、マサコ・コウタイシ・ヒデンカ、すなわち、雅子皇太子妃殿下」なんだ!!!
 
デンドロビウム ‘マサコ・コウタイシ・ヒデンカ’

じつは、1993年に、現皇后さまであらせられる雅子様と皇太子殿下がご成婚されたのを記念に、シンガポール植物園がオリジナル品種にお名前を付けてお贈りしたんだそうな。それは、今でも宮内庁で大切に育てられているんだろうけど、それ以降、門外不出だった貴重なデンドロビウムを、両植物園の40年にもわたる関係を鑑みて、特別に初めて国外に出してくれたんだ。どうだい,凄いだろう? そのデンドロビウムが、今まさにフラワーセンターの大温室で見られるんだ。日本でここだけで見られるんだぞ! 10月の上旬から展示していて、新聞にも大きく取り上げてもらったんだけど、そろそろ花も終盤に差し掛かっているので、一目見たいって思う人は急いでフラワーセンターに見に来るんだぞ!

デンドロビウム‘マサコ・コウタイシ・ヒデンカ’は、皇后さまにはぴったりの純白の清楚な花で、神々しさまで感じるのは僕だけだろうか?

操の「へぇ~!」
純白の花、素敵ですね。こんな希少な品種は育てるのが難しいのかな。栽培技術が進歩すれば、いつの日か希少な花も街角の花屋さんで買えるようになるのかしら。そんな日が来るといいなと夢を広げました。

「デンドロビウム」を見に行こう!
兵庫県立フラワーセンターHP>

ムッシュ・フルーリは白井にとって緑の知恵袋のような存在。
バックナンバー「ムッシュ・フルーリ緑の扉」にも植物の知りたいコトが満載です。

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