白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

第23話 モミジバフウ

「ムッシュ・フルーリの花探検 in フラワーセンター」
吾輩、ムッシュ・フルーリは、実は、 何を隠そう兵庫県立フラワーセンターという植物園の園長なんだ! 今回からは、我がフラワーセンターが誇る4,500種類にも及ぶ膨大な植物コレクションの中から、 その季節ごとに咲くとっておきの一品を紹介していくぞ!  栽培が難しくて国内では滅多に見ることのできない花、 形が奇妙で花らしくない花、普段何気なく目にしているけど、実はこんな変わった性質がある花、 そして世界中でフラワーセンターでしか見ることのできない植物などなど、次々と興味深い花たちを紹介していくから、楽しみにな!

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと秋の花探検!
加西市にある兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長の植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。大人気のセミナーです。
フラワーセンターのお花とムッシュフルーリに会いに行きませんか。

『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
➀11/21(土)②12/19(土)③1/16(土)
(各13:30~15:00 ご参加には予約が必要です。)
*予定は変更になる場合がございます。
●予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)

第23話 モミジバフウ
11月の声を聞くと、そろそろ暖房が恋しくなってくるよね。8月はあんなに猛暑に苦しんだのに、寒さが近づいてくると、なんだかあの暑さが懐かしく感じるよ。 さあ、毎年この時期になると、フラワーセンターの園内でもそろそろ木々が色づき始めるんだ。なかでも、来園者に好評なのがモミジバフウの並木なんだ。ちょうど北門からは北料金所を経て本館事務所までの間にある「彫刻の道」の両側に、80本ほどが並木として植えられているんだ。この並木は、フラワーセンターのオープン当時に植えられてたものだから、樹齢は優に50年は越えているよな。なかなか見ごたえのある並木だから、みんなも一度くらいは見ておかなきゃな!!

モミジバフウの紅葉(フラワーセンターの彫刻の道11月中旬)

モミジバフウの原産地は、北アメリカの東南部で、日本に導入されたのは、大正末期で、アメリカ庭園協会から寄贈されたそうなんだ。病害虫や公害に強く、日本の気候によく適応して、丈夫でよく育つことから、全国の街路樹によく植栽されているんだ。しかも、どんなところに植えてもすごくきれいに紅葉するので、使い勝手が非常いい木なんだな。

さて、モミジバフウを漢字で書くと「紅葉葉楓」となるんだけど、なんだか変だよなぁ。そうだろう、「モミジの葉をしたカエデ」っていう意味なんだぞ。モミジもカエデも一緒だからねぇ。 で、モミジバフウの葉の写真を見てもらえばわかると思うけど、モミジの葉のような掌状葉で5~7裂しているよね。これが「紅葉葉(もみじば)」の理由なんだ。
モミジバフウの葉

では、「楓」とは? これにはちょっとしたからくりがあって、中国にはフウというモミジバフウの仲間が自生していて、これを中国では「楓」と書いているんだ。この「楓」という漢字が日本に導入されたときには、日本にはフウの仲間は存在せず、葉の形が似ていることから、どうも「楓」という漢字がカエデのことを指していると勘違いしたらしいんだな。ということで、それ以降カエデを指す漢字として、日本では「楓」が使われてきていて、今でも「楓」と書けば誰でも「カエデ」って読むよな。ところがだ、明治時代になってから、中国のフウという樹木が日本に導入されたときに、「楓」という名前だったものだから、これをそのまま音読みして「フウ」という呼び名にしてしまったんだよ。そこまでは良かったんだけど、それを漢字で表すと「楓」になってしまうので、「楓」という漢字が、カエデとフウという2種類の樹木を指すことになってしまったんだな。それが今でも続いてるってわけ。最初のほんのちょっとした勘違いから、千数百年後の現在の世の中にまで影響を及ぼしているんだぞ。当時、「楓」をカエデと勘違いした人は、この現状を知ったらどう思うんだろうか?

当時の人も勘違いしたと言われるカエデとモミジバフウの違いだけど、葉の形は良く似ているよなぁ。でも、付き方が全く違うんだぞ。カエデ類は対生といって、茎の両側に必ず2枚ずつ対になって葉が付いているけど、モミジバフウは互生といって一枚ずつ互いに付いているんだ。

さらに、モミジバフウの1~2年目の若枝には、「翼(よく)」と呼ばれるコルク層でできた平たくて硬いでっぱりがあるんだ。さらにさらに、モミジバフウの樹皮は縦に細くて深い切れ込みが多数入っていてるけど、カエデ類は比較的なめらかなんだ。どうだい、これで間違うことはないだろう?
モミジバフウの若枝のコルク層(翼)
モミジバフウの樹皮

ところで、モミジバフウの果実は非常に魅力的なフォルムをしていて、ドライにすると非常に長持ちするから、リースの材料としても良く使わているんだ。花材屋さんで買うと結構するもんだけど、年末にフラワーセンターに来たら拾い放題だぞ。
モミジバフウの果実

「モミジバフウ」を見に行こう!
兵庫県立フラワーセンターHPはこちら>

ムッシュ・フルーリは白井にとって緑の知恵袋のような存在。バックナンバー「ムッシュ・フルーリ緑の扉」にも植物の知りたいコトが満載です。

 

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