白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

紫苑と不忘草(シオンとわすれなぐさ)

シオンという名前、イイ響きだと思わないかい? 漢字で書いても「紫苑」なかなか良い感じだから、女の子の名前としても未だに人気があるみたいだよ。
このシオンという植物は、もちろんみんなはよく知っているよね。残暑もようやく終わり本格的な秋の訪れを感じる頃、すっくと立った背の高い花茎の先端に数多くの薄紫色の花を咲かせるよね。
シオンという植物は、わが国では九州のごく一部の限られた地域に自生しているんだけど、現在、野生のものは数少なくなっていて、絶滅危惧種にも指定されているんだよ。
紫苑と不忘草②シオン(花の拡大) (シオン  花の拡大)
紫苑は古くから歌などに詠まれていて、『今昔物語集』には父を思う兄弟の話に登場するんだ。ある兄弟は、父の死を嘆き悲しんだんだけど、弟は父の墓のそばに不忘草(わすれなぐさ)である紫苑を植えて、父を忘れないように墓参りを続ける。さて一方の兄は、父への思いを断ち切ろうと、墓のそばに萱草(わすれぐさ)を植えて、墓参りを止めたんだ。みんなはどちらに共感するかな? 因みにワスレグサとはヤブカンゾウやノカンゾウなど、ユリ科ワスレグサ属(ヘメロカリス)の植物を指しているんだぞ。
さて、この話の結末は・・・、弟の父への思いに感心した墓守の鬼が、弟に、その日に起こる事柄の善し悪しを事前に毎日夢で知らせてくれることになり、弟は幸せに暮らしたと言うことだよ。えっ、兄はどうなったのかって? 実はその後の兄のことは何も書いてなくて、今昔物語集には、「嬉しいことのある人は「わすれなぐさの紫苑」を植え、また憂いのある人は「わすれぐさの萱草」を植えて、いつも見るべきであると語り伝えられている」と、締めくくってるんだ。どうだい、いい話だろう?
紫苑と不忘草①シオン (シオン)
ところで、シオンは学名をAster tartaricus といって、孔雀草や友禅菊などと同じキク科アスター属で、園芸界で宿根アスターと呼ばれているグループに属しているんだよ。アスターの仲間ではダントツに背が高くて、180cmくらいにもなるから、凄く存在感があるので、ボーダー花壇のバックに植えると凄く映えるし、また、和風の庭にもよく似合うから、みんなも是非使ってみてごらん。

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