萱草(かんぞう)、忘れ草(わすれぐさ)、ヘメロカリス
ニッコウキスゲ、ヤブカンゾウにノカンゾウ、そしてユウスゲ。これらは、みんな分類学上ワスレグサ属に属する親戚たちなんだ。高原や湿原に大群落をつくるニッコウキスゲ、みんなもよく知っているよね。平地の草原や河原、田んぼの畦などにも咲いているノカンゾウにヤブカンゾウ、そして夕刻から馥郁とした香りを漂わせるユウスゲ。どれもみんな捨てがたい魅力を持った夏の花だねぇ。
ノカンゾウ
ヤブカンゾウ(必ず八重咲き)
ユウスゲ
ニッコウキスゲ
ワスレグサ属の植物たちは、日本を中心として、朝鮮半島や中国大陸などの東アジアに自生し、古くから人間に利用されてきたんだ。今では、これらを基にして育成された豪華で大きな花を付ける園芸品種たちが「ヘメロカリス」っていう名前で、出回っているよね。ヘメロカリスっていう宿根草は知っているだろう? 暑さや寒さ、乾燥にも強くて、非常に丈夫で育てやすく、日当たりさえ良いところに植えておけば、放っておいても毎年必ず綺麗な花を咲かせてくれる。ずぼらな園芸家にとって、なんて便利な植物なんだろう!!
しかも、野山に生えているノカンゾウやヤブカンゾウの新芽は、山菜としても人気で、さっと湯がいて酢味噌和えにしたら、シャキシャキとした歯ごたえで最高だぞ!! もちろんサラダでも食べられるから、みんなも春先に摘みに行けばいいよ。
ノカンゾウの新芽
ワスレグサという名前は、これらの花が一日しか咲かないからなんだ。ほとんどのものは朝咲いて夕方には萎む、ユウスゲのように夕方咲いて明け方に萎むのもあるけどね。どちらにしても一日花。一日限りで終わる花だから忘れ草という名前になったんだってさ。英語ではDay Lily これも訳せば「一日の百合」ってことになるんだね。
さて、ワスレグサの仲間は、特にアメリカで非常に人気があり、古くから品種改良が進められてきたんだ。それらが日本に里帰りしたのが「ヘメロカリス」って呼ばれている宿根草だね。写真を見れば分かるように、非常に豪華で華やかな花に改良されていて、我々日本人には、ちょっと豪華過ぎてくどい感もなきにしもあらずってとこかな。とはいえ、本来の丈夫な性質は変わっていないから、庭に植えっぱなしにしておくにはもってこいの宿根草だぞ。
ちなみに、このワスレグサは、わすれな草(勿忘草)とは一切関係がないからそのつもりでな。
ヘメロカリス(園芸品種)
ヘメロカリス(園芸品種)
ヘメロカリス(園芸品種)
ヘメロカリス(園芸品種)
ヘメロカリス(園芸品種)
ヘメロカリス(園芸品種)