白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

西宮阪急「食のミニセミナー」

セミナーレポート 2016.12.9 白井さんの料理講習会

2016/12/14 

今年最後のセミナーは白井の料理講習会。おもてなしの機会が増える年末年始にも役立つ、お惣菜をアレンンジ術を色々とご紹介します。
「三つ葉の束にある小さい姫三つ葉、水菜の柔らかい部分は緑のあしらいに役立つ宝物。イタリアンパセリも便利。水菜の硬いところはきんぴらを作ったあとのフライパンでそのままサッと炒めても」。試食はドンクのバケットに生ハム、チーズにイタリアンパセリを添えて。「ひじきの煮物があれば、よく水気を切った絹こし豆腐をつぶしてすりごまを入れたものと和えて白和えの出来上がり。春菊やいんげん、お揚げでも、その時ある食材で仕上りを楽しんで。」
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「旬の里芋や海老芋はぜひご家庭で煮物にして欲しいところですが、忙しい時は里芋の煮物を買って。少しだけフォークで潰し、山椒と味噌で里芋味噌のようなものを作り、残りの里芋に添えて。小さな緑を添えてなんだかいい感じ。お弁当にもどうぞ。」「切り干し大根は大根サラダに。千切りにした生の大根に軽く塩をしてだし昆布を挟んでおきます。軽く水を切って切干大根に貝割れなどと添えて。焼き豚の端っこや蒸した鶏などを足しても。」実際にお惣菜のパックをあけて実演しながらどんどんを作っては小鉢に盛り付けて・・・。「鶏のから揚げはマリネに。にんじん・きゅうり・玉ねぎの千切り、斜めに切ったネギを塩でもんで苦みを取ったものや、椎茸もいつも薄切りじゃなくて軸を少し残し縦に十字に切って、お酒と塩をふってレンジでチンしたものと。酢・砂糖・醤油にダシや煮物の残り汁を茶こしで濾したものなどを合わせてマリネ液にします。ルバーブなど新しい野菜を添えておしゃれに。冷蔵庫にあるキャベツや白菜の湯がいたものでも大丈夫。」「色がきれいな紅芯大根。薄く切ってダシ昆布を敷いて薄く塩をして置いたものを、ハムやチーズや焼き魚をほぐしたものに添えても。」「クリスマスの鶏のモモ肉は冷凍して置くと便利。手でさいてコチジャンとごま油などで和えて。春菊の柔らかいところなど緑を添えれば急なお客さまにも対応できます。」「お正月ならではの食材を集めたごちそうサラダをご紹介します。数の子やかまぼこなどおせちの少し余りものに、ぎんなん、ダシ巻き卵、ゆでたブロッコリー、えび、ゆり根、しいたけの煮物、きゅうりをじゃばらに切って塩でもみ、花びらのように開いたものなどを色とりどりに盛り付けて。今日は器が大きかったのでレタスで上げ底しています。ドレッシングはお雑煮の残りの白みそに三杯酢、ダシ、オリーブオイル、マヨネーズなどを固形から液体を順に溶いていくように混ぜ合わせたものを。自分の器に取り分けてからかけていただきます。」

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*奥塗り椀:ごちそうサラダ
*手前角皿:ポテトサラダのサーモン巻き
*ガラス皿:(右)切干大根サラダ風(左)ひじきの煮物で白和え(奥)里芋煮物里芋味噌添え
*塗り皿:(手前)半熟たまご(右)唐揚げマリネ(左)チーズピック(奥)フルーティーきんとん

「ポテトサラダはラップを使って丸めてサーモンを巻き付けます。本物の椿の葉を添えるとかわいい椿の花に。若い頃こういうことが楽しくて料理が好きになっていったんですよ。」「リンゴ(できれば紅玉)をたわしできれいに洗い皮をむいて、薄くいちょう切りにしたリンゴ半個に50gの砂糖を入れ色付け用の皮と一緒にほたる火で煮詰め、蒸したさつま芋にレモンと砂糖を加えてつぶしたものと合わせて、ラップで茶巾のように丸めるとフルーティーなきんとんに。ゆでたまごやピックに刺したチーズやからすみと一緒に盛るとちょっとすてきな一皿に。天ぷら紙を器の下に敷くと傷もつかないし雰囲気もでます。」「山の芋をレンジで簡単においしく食べるレシピを。手がかゆくなる方は必要な部分以外は皮を残すかお箸で刺しておろし金で擦って。粘りがつよいので、スプーンですくって余分な量をハサミで切り落とすようにすると扱いが楽に。器に山の芋のすりおろしを大さじ1を入れ、ダシを50~100ccを加えてお箸でよく溶き混ぜます。一口大に切り酒と塩で下味をつけた鶏肉を器に沈めてラップをふんわりかけてレンジで1分から1分半。必ず一人分づつレンジに。食べる前にしょうゆを少しかけて。山の芋のおいしさは格別。見かけたらぜひ買っておためしを!」。料理を頑張る気になったと嬉しいお言葉がたくさん寄せられ、幸せな一年の締めくくりになりました。(文:土田)

セミナーレポート 2016.11.25 お歳暮青いギフトカタログ試食会 桂南光さん【第2弾】

2016/12/2 

先週に続き南光さんとの絶妙なトークが好評のセミナー第2弾。白井のおすすめするお歳暮ギフトから、作り手を訪ねた時の感動を試食とともに「味わって楽しんで」いただくセミナーです。「話は後で聞くとして、熱いものは熱いうちにどうぞ」と南光さん。試食を前に動画と写真を交えてご紹介がはじまります。
金沢蒲鉾の「武屋」は一流の料理人が認める練物の老舗。「味を支えるのは研究熱心な弟さん。社長のお兄さんと仲良く二人三脚で」。陸奥湾の生ホタテや話題の金時草などを原料に使った金沢しんじょや蒲鉾の迎春セットから試食していただくのは食感が絶妙な紅白蒲鉾。
「これ大人気なんです」と白井が紹介するのは「パスカルさんだ」のかぼちゃスープ。三田特産の栗カボチャを収穫して現地ですぐにフリーズドライ。地元産太ネギと三田米を使ったぞうすいとセットで。試食は栗カボチャスープ。自然のままの味わいに会場も大満足。
「豚はエサで肉の味が決まりますよね」と南光さん。京都「ハンバーグラボ」のハンバーグは京都ポークを100%使用。「こちらは丹波の大麦とパンを使ったブランド豚。練って練って30ミリの鉄板で焼き上げるのでなんともジューシー」。試食はねぎ塩ソースをかけて。
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春に地震で大きな被害を受けた熊本・大分を応援するページも。「熊本空港から車で走るとまだまだ震災の爪跡がそのまま」。そんな困難から立ち上がり、九州産フクユタカ100%、阿蘇の伏流水、天草の天日にがりを原料に、消泡剤を使用しない本物の豆腐を作る「とうふ処安喜」の湯豆腐セット。試食はザル豆腐を冷奴で。「冷奴はいつも塩とオリーブ油で食べるんです」と南光さん。豆の味わいがよくわかるそう。
大分の「姫野一郎商店」は創業約140年の干し椎茸専門店。椎茸佃煮セットは原木しいたけにこだわって。「食べやすい薄味の佃煮。旨みが濃くて野菜と一緒に料理でも使えそう」。
試食は椎茸昆布・椎茸ちりめん・椎茸と豊後牛の佃煮の3種を白ご飯と共に食べ比べ。
白井と同い年、1948年創業の山梨「あんこ屋野中」の手作りぜんざいは人の手で選別を重ね、砂糖の焦げ色で赤っぽく仕上がった小豆と短時間で炊き上げ豆の風味を生かした黒っぽい小豆とを合わせて仕立てる丁寧さ。その繊細な味を試食で実感していただきました。
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明治時代から今も変わらず地元の名士に愛される「開花亭」の海の幸鍋。「福井のおいしいものが集まるお店だけあってはまぐりのダシが効いたお団子が絶品」。函館「食彩工房」アワビの西京漬と昆布締めは「小ぶりで旨みたっぷりの希少なクロエゾアワビを独自の方法で仕上げたここだけの味わい」。厳選した真イカのスルメと昆布を使い、昔ながらの方法で仕込んだ函館「龍野屋」の松前漬は塩控えめの特別仕上げ。秋田産の紅玉を驚くほどたっぷり使った「デリカテッセン紅玉」のアップルパイとタルトタタンは酸味さわやか。中国残留孤児だったご主人とともに40年前日本に来られたハルビン出身のお母さんが丁寧に仕上げる京都「楽仙楼」の手作り水ぎょうざ。「何もつけなくてもおいしかったです。20個も食べて家で怒られました」と南光さんのお墨付き。ノーベル賞の晩餐会で供される「福寿」の蔵元が手掛ける和食店「さかばやし」。但馬牛の佃煮は上等の昆布だしと福寿純米吟醸をたっぷり使ったぜいたくな味わい。100年以上使い込んだ木桶樽を使って味噌を仕込む長野の「山万味噌」の発芽玄米味噌を使った和牛の味噌漬は「残ったおいしい味噌は料理に」と白井。蜂の自然な力を生かしたはちみつにナッツを漬け込んだ熊本「西岡養蜂園」のはつみつ漬ナッツ。「私は濃い目のコーヒーや紅茶に、スプーンにひとさじすくって添えています」。大分の「レフトアローン」は老舗のバー。評判のレーズンバターは小さくきざんだレーズン・ラム酒・発酵バターで丁寧に作るオリジナルレシピ。クッキーとセットで粋なギフトに。南光さんの進行も軽やかに、ここだけのとっておきの話題もたくさん飛び出して、いつにも増して濃~いセミナーとなりました。(文:土田)

セミナーレポート 2016.11.18 西宮阪急8周年トークショー 桂南光さん【第1弾】

2016/11/27 

8周年を迎える西宮阪急。今回は西宮阪急3階のレストラン ルスードチェサピークを会場にお茶とケーキを味わいながら、桂南光さんをゲストに、これまでの歩みを振り返る特別企画です。
まずはオープン当初からお店を支えてきた社員の方にお話しを伺いました。オープン直後は商品が売れなくて・・・と話されたのは銘菓銘品の西村さん。今では売上は1.5倍に。オープン時から初めてのサービスカウンター業務に戸惑いながらも奮闘してこられた長野さんは現在リカー担当「樽詰めのボジョレーが好調です」。藤井さんは電話交換一筋9年から西宮阪急で初めて売り場に。スーパーと百貨店の商品がどちらも揃うのが西宮阪急の強みと日配品の品揃えをPR。「ベテランじゃなく全く違う業務をされていた人が担当されることもあるんですねぇ」と南光さんもびっくり。
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「白井プロデュースのナチュラルセラーは当時の食品部長さんとオープン前に700~800品目の試食をして取り扱う商品を決めたんですよ。今は抽選のセミナーも始めは人が集まらなくて」と白井。
第一回は伝説のシェフ美木剛さんとドンク創業者の娘で役員も務める奥様の陽子さん、ご夫婦の仲良しで湯布院を有名にされた亀の井別荘の中谷健太郎さんをゲストに。第二回はRF1でおなじみロック・フィールド社長の岩田さんとアンリ・シャルパンティエ創業者の蟻田さん。「岩田さんは蟻田さんに時代を先取りした素敵なことや面白いことをたくさん教えてもらったと。蟻田さんも体の不調を押して快くゲストを受けてくださって・・・」。
グルジア共和国から持ち帰ったヨーグルトを「カスピ海ヨーグルト」と名付け世に広めた家森先生。「その頃いろんな人から種菌をいただきましたけど、人によって味が全然違いましたなぁ」と南光さん。種菌に牛乳を足して家庭で増やせる手軽さの反面、ヨーグルトの安全性を確保する必要に迫られ、当時凍結乾燥の設備をもっていたフジッコがその役目を担うことに。「フジッコ現社長の福井さんが来られた日はご結婚が決まった日でその話題ですごく盛り上がったのよ。UCC会長の上島さんは希少なコーヒー豆のその年のストックを全部このセミナーでふるまってくださって」。
「毎年年初に来てくださる瓢亭の高橋先生。「京料理の伝承者として無形文化財にもなられて。雲子など旬の素材を使った試食も楽しみ」「瓢亭さんのダシをこの方がかつお節からマグロ節に変えられたと聞いて、創業400年の老舗で大変なことを・・・と感心するんです」と南光さん。自称えびせんランナーの創業150年の桂新堂社長光田さん、社長は代々山本嘉兵衛を襲名する山本山は創業330年、老舗を守る人は素材や品質の知識の深さと広さに驚かされます。赤福は毎朝4時に本店のお茶を沸かすのが嫁の仕事。創業以来309年間365日行われているって話してくださいました」と老舗のならではの話題も。
マイスター工房八千代は人口7000人の街で毎日1500本の巻き寿司が完売するお店。地元の食材を生かし雇用も生む新しい地域振興のモデルを確立された藤原たか子さん。「西宮阪急にご紹介して、今では大人気の商品になったんですよ」。
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「もし私が紹介するとしたら、空堀商店街の昆布やさんかな」と南光さん。昆布漁師は重労働で年々減少する中、北海道から修学旅行にきた最高級真昆布の産地の子供達たちに一流の料理人が作る和食の食事会に招待するという活動を続けておられらます。「皆さんのお父さんお母さんがこのおいしさを支えているんですよ」と伝えると子供たちは昆布漁に誇りを感じ、後を継ぎたいという気持ちになって帰るそうです。「見えない所で支えられてることに気づくのは大切ですね。このセミナーも本当にたくさんの方に支えられてここまできました。感謝です。」と白井。しみじみしたり、笑ったり、8年の足あとをたどりました。(文:土田)