白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

白井のエッセイ

NO.46 料理は楽しい

私も「団塊の世代」と呼ばれる一人です。57歳。小学校の時、教室の後の席の子は、壁の給食袋かけにすっと手を伸ばせば届くぐらい、部屋は子どもたちで一杯でした。60人近くいたと思います。何をするのも順番を待ちました。
小学校の夏休みにチキンラーメンやボンカレーを食べた最初の子どもたちだと思います。日々の暮らしがどんどん変化していく中で大きくなった世代です。冷蔵庫も氷から電気に。洗濯機も手回しから自動に、そして今では当たりまえのようになった全自動に。子どもは、その都度お手伝いの仕方が変わりました。おつかいも市場からスーパーに。市場では、卵屋のおばさんが電灯に卵を透かして一つ一つずつ鮮度を確かめ、新聞紙にくるんで渡してくれました。味噌屋のおじさんは富士山のように盛られた味噌の樽がいくつも並ぶ土間に立ち、お客の注文に応じて「ヘギ」に味噌を包んでくれました。手に持った木杓子をサッと投げて元の味噌樽に戻すのが得意技でした。あぁ懐かしい・・・。あのおじさんやおばさんはただお店に立っているだけでなく、自らの五感を働かせて仕入れをし、食品の安全を管理し、またスポークスマンでもあったんですね。
私の学年も今、働いている女性はほんの少しですが、男性は多くがここ2~3年のうちに定年を迎えます。あれから暮らしは随分変わりました。今、定年を前にして台所をリフォームする人が増えているそうです。料理はもとより、お茶も入れられない男性にはチャンスです。これを機にキッチンライフを始めてみませんか?食を通して新しい暮らし作り、楽しいですよ。

平成17年8月9日


NO.47 今年の夏のご報告

ごめんなさぁ~い!エッセイ久しぶりの更新です。
スタッフも日々の仕事に追われホームページが手抜きになっていました・・・。
本当に忙しい夏でした。11月発売予定の講談社原稿を抱えながらあっちこっちと出かけていました。
いくつかご報告しますね。
〇8月11日 神戸市の公式ホームページ「神戸情報館」のインタビューを受けました。
http://www.kobe-johokan.gr.jp/ 一度ご覧下さい。
〇8月22日 読売新聞「男の快適キッチン学」(9月14日掲載分)さんま料理を撮影しました。
料理初めてのお父さん、是非さんまに挑戦してみて下さい!
〇8月23日 雑誌「あまから手帖11月号」掲載の”キリンビールに合う料理コンテスト”実施
楽しいメニューが色々再現されました。
〇8月25日 「第4回神戸ライフスタイルと心血管病フォーラム」に話題提供として参加してきました。
厚生労働省と農水省が共同で作った食事バランスガイドを通して日本人の食生活の見直しを考えさせられる。など、私自身の夏の学習の場でもありました。
〇8月30日 「NHKかんさいニュース1番」のコーナー”知っ得1番”に生放送出演しました。
Dr.のお話はオクラのねばねばで夏バテ回復!でした。
〇9月2日 「NHKきょうの料理」(10月6日放送分)を収録しました。
テキストは9月16日発売です。
〇9月9日 「いきいきライフセミナー」シンポジウムに出席しました。
その様子は9月25日の神戸新聞日曜版に掲載されます。
〇9月13日 「篠山市四季の森生涯学習センター」にて講習会を行いました。

とりあえずここまで。
あ~忙しかった・・・。でもたくさん食べてバタバタ動いておかげさまで私元気です。

平成17年9月14日


NO.48 済州道ススキ祭りに参加しました。

以前このコーナーのエッセイNo28にも書かせていただいた李さんご夫妻とのお出会いを通して韓国を知った私ですが、今回、神戸国際観光コンベンション協会と韓国の済州道観光協会との友好親善のため神戸大使のお仕事で済州道(チェジュ)に行ってきました。チェジュは、ドラマ“オールイン”や“チャングムの誓い”の舞台にもなった自然がそのまま残った美しい島です。といっても近代的なホテルが立ち並ぶ観光地でもありますが。
 さて私の今回の役割は、毎年秋にかんらさん漢拏山(かんらさん)で開かれるススキ祭りのイベント会場で神戸のよさをPRする場面を作り、チェジュの方々に神戸の味わいを何か体験していただくということでした。色々考えましたが場所はテントがあるといってもチェジュ名物の風の強い広い原っぱ。ボランティアの方にも手伝っていただき、あちらの名産の大きなじゃが芋を蒸した後炭火であたため、用意した肉味噌をつけて食べていただき、今ひとつ、こちらから持ち込んだドンクのガーリックバターの入った風に強いパンにキムチをトッピングしたものなど、神戸とチェジュをつなぐ共通の相性の良いものをお皿の中で出会わせ、試食していただきました。なんとお祭り会場には3万人近くの人が来られたとか・・・。神戸ブースにも驚く程の人の列が続き、「マシッタ(美味しい)」「カムサハムニダ(ありがとう)」の笑顔があふれました。
 人と人が真心で出会い、相手の好みを理解する・・・。食べ物がいろんなことを教えてくれました。

平成17年11月1日


NO.49 消防署を訪問して

人は、自分の能力以上のことをやろうとする時に、ストレスがかかるといわれています。
ならば自分の身を危険にさらして人を助けようとする。この尊い行為のエネルギーは、一体どこから出てくるのでしょう。そして、このストレスはどう納めておられるのでしょう。
 街の中にいると、救急車の走るサイレンに出会います。時にはカンカンと鐘を鳴らしながら走り去る消防車に出会うこともあります。事故や火災は突然やってきます。隊員の方にとっても、突然の出動だったことでしょう。もしかしたらお昼ご飯の最中だったかもしれません。あるいは、食後のリラックスタイムだったのかも。普段の暮らしの中の突然の指令。この静と動の使い分けを知りたくて、消防署を訪ねました。というのも近々、中央消防署から依頼戴いた講演会があり、日頃から気になっていたことを勉強させていただきたかったのです。
これだけではないと思いますが・・・と断りながら、それはやはり「日頃の訓練だと思いますよ」と所長さん。「隊員は日頃から身体を使った訓練を怠りません。身体を作り、身体を動かすことは、身体を回復させることでもあるのです。」疲れた身体は、身体を使って発散させ、回復することができると教えて頂きました。それから、人を助けるという使命感と、それをやり遂げられたときの達成感。目の前の誰かのピンチを助けられる人になれる。そんな日常は確かに少ないかもしれないですね。そして、人に優しい消防士も、指令後は顔つきが変わるとお話くださいました。切り替えの大切さ・・ですね。
 当日は丁度、近所の中学校のトライヤルウィーク。子供達と一緒にはしご車に乗せて戴きました。ビルより高い30メートルの高さから見える御影の山や町並みは、なんと美しいこと。しかし、火事のときは、例えば今見えている、この目の前のビルの窓を割って入り、助けた人を担いで降りるという隊員の方の言葉に、思わずドッキリ。みなさんのお仕事の大切さとそれを支える日々の鍛錬に、ただただ頭が下がりました。

平成17年11月14日


NO.50 20冊目の本が出ました

~20冊目の本が出ました~
私は料理が好き、だから手間だとは思わない。作っていて楽しい、だからめんどうなこともへっちゃら。そんな私に講談社の担当編集者さんは言いました。「白井さん、次の本はめんどくさいことをなくす本をつくりましょう。料理をすることがやがて楽しくなるように。買い物の段取りや後片付けの手順などもね。初心者の人が恥ずかしくて人に聞けないようなことが書いてある本。
読んだらすぐ分かる本。事典みたいな本です。
私は編集者としての彼女の姿勢が好きです。ひたすら書いている時、ぐらつかない編集者の存在は灯台です。料理好きが陥るのは、初めからめんどうを楽しむ部分を初心者にも求めてしまうことです。初心者のとまどいは不安と面倒なことが重なっていることを忘れてはいけませんね。料理は一を通過すると後は自然に・・・。
何回か作り慣れてるうちに初めは失敗してもきっと楽しくなる日が見つかるはずです・・・。
今、出来あがった本を目の前にしてつくづく編集者のやさしさを感じます。この仕事をしてよかったと。今回の本作りにかかわって下さった方々に心から感謝を申します。いい本になりました。そして、この本を手にしてくださった方にどうぞ料理作りの楽しさが始まりますようにとひたすら祈っています。