白井操クッキングスタジオ

料理研究家・白井操の神戸発レシピやエッセイがたっぷり!料理講習会のイベントや主な著書なども掲載中。男の料理や食育、シルバーカレッジ情報も発信中。

操の「へぇ~!」な雑学

ムッシュ・フルーリ花探検 第9話 アキメネス

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと秋の花探検!
加西市にある兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長の植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。
フラワーセンターのお花とムッシュフルーリに会いに行きませんか。
(参加の皆様には会場で操のさんのレシピプレゼントもありますよ。)
『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
9/14(土)、10/12(土)、11/23(土)
(すべて13:30~。ご参加には予約が必要です。)
●予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)

第9話 アキメネス
ものすごく暑かった夏も、9月の声を聴くと朝夕は少し秋らしい風が・・・・・って言うわけもなく、相変わらず暑い日が続いてるね。みんなは夏バテしてないかい?

さあ、花の話だけでも、少しは秋らしい話題にしようかね。9月にもなるといよいよフラワーセンターのアキメネスのコレクションが綺麗な花をたくさん咲かせてくれるんだ。ところで、みんなはアキメネスって言う花は見たことがあるのかなぁ?
アキメネスって言う花は、イワタバコ科の球根植物で、#001スミシアンサと#006ストレプトカーパスの時にも説明した、フラワーセンターが世界に誇るゲスネリア・コレクションの一部なんだぞ。

アキメネスは、メキシコと中央アメリカを中心に、西インド諸島に及ぶ亜熱帯および熱帯地域に25種ほどが自生しているんだけど、園芸品種の育種にはそのうちの数種しか使われていないんだ。自生地を見ればわかるけど、温かくて湿度の高い環境を好むので、日本では、初夏に球根を植えこんで、半日陰で育てれば、夏から秋にかけて花を咲かせるんだぞ。秋も深まり気温が下がってくると、地上部は枯れて地下に鱗片に包まれた球根(根茎)ができるので、枯れた地上部を切り取って、鉢のまま乾燥させて、凍らせないように来年の初夏の植え時まで保管するのさ。ちょっぴり暑がるけど、凄く暑いときは風通しの良い木陰などにぶら下げておけば、ご機嫌を損なわずに済むぞ。


アキメネスの様々な園芸品種

栽培上の注意点は、球根が非常にデリケートなので、その取り扱いには十分注意することと、栽培期間中はぜったに乾燥させ過ぎないこと。球根の表面に傷をつけると、その部分から黒ずんできて腐ってしまうから、優しく扱ってやるんだぞ。手荒に扱うとすぐにポキッと折れるからな。

アキメネスの球根(根茎)

花色は、ブルー系を中心に、ピンクや赤、黄色いのもあるぞ。花が大きくてたくさん咲くので、結構見栄えがするから、是非育ててみるといいよ。花を見たことがない人は、9月1日~10月8日まで、フラワーセンターの大温室内にある四季の花室でアキメネス展を開催中だから、是非、見に来るようにな!

フラワーセンター四季の花室

操の「へぇ~!」
おしろい花のような花ですね。いろんな色があってかわいい・・・。私たちが街の花屋さんの店先で見かけるインパチェンスや日々草も年ごとに品種改良されたものになっています。次々に改良が進むんですね。新しい花色や今までにない咲き姿にみんな惹かれるのかな。

 「アキメネス」を見に行こう!
「兵庫県立フラワーセンター」のHPはこちら>
✿大温室 四季の花室にて、ただいまアキメネス展開催中(9月1日~10月8日)

 ムッシュ・フルーリは白井にとって緑の知恵袋のような存在。バックナンバー「ムッシュ・フルーリ緑の扉」にも植物の知りたいコトが満載です。

ムッシュ・フルーリ花探検 第8話ルドベキア

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと夏の花探検!
兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長の植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。
フラワーセンターのお花とムッシュ・フルーリに会いに行きませんか?
(参加の皆様には会場で操さんのレシピプレゼントもあります。)
『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程            
8/17(土)、9/14(土)、10/12(土)
(すべて13:30~。ご参加には予約が必要です。)
●予約・お問い合わせは
TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)

第8話 ルドベキア

全国で大量の雨を降らせた梅雨も終わり、本格的な夏がやってきたね。
さて、みんなは夏の花といえば、何を思い浮かべるかな? ヒマワリ、アサガオ、マリーゴールド、サルビア、ジニア、カンナ、ビンカ・・・次々といろいろと出てきたけど、数ある夏の花のなかでも、花壇に使い勝手の良いルドベキアという夏の花について、話をするとするかな。

もちろんみんなは、ルドベキアって知ってるよね。えっ、ひょっとして、グロリオサデージーって言えばわかるのかな? 40~50年前は、確かにそう呼んでいたよな。当時は、ルドベキアの中でも1年草タイプのヒルタ(R. hirta)という原種を改良した園芸品種しかなかったから、グロリオサデージー=ルドベキアで良かったんだけど、今や、多年草タイプの園芸品種が数多く育成されていて、とてもグロリオサデージーって言う名前では収拾がつかなくなっているんだ。ということで、最近は、これらを一まとめにしてその属名となっているルドベキア(Rudbeckia)って呼ばれてるんだよ。

グロリオサ・デージー              プレーリー・サン

じゃあ、たくさんある種類の話からしてみようか。キク科のルドベキア属は、北米に20種ほどが自生していて、ほとんどが多年草なんじゃが、最初に園芸化されたのが、花が非常に大きいヒルタ種(R. hirta)だったんだけど、これが短命(2~3年の寿命)の多年草だったので、これを基にして改良されたものを春播き一年草として扱ってたんだな。だから、なんだか一年草のイメージが強かったみたいだな。で、この園芸品種群がグロリオサデージーって呼ばれて、園芸店で種が売られていたんだな。もちろん今でも、グロリオサデージーって呼ばれることもあるけど、若い人は知らないかもね。この種類以外は、多年草(宿根草)なので、苗を買って植えることになるな。

マヤ               ブラック・アイド・スーザン

多年草のグループでは、数多くの原種を基に多種多様な園芸品種が育成されていて、矮性のものから高性のもの、大輪から小輪まで、植える場所に応じていろいろなタイプが選べるので、花壇にはもってこいの花だよね。
しかも、ルドベキアの最大の長所は、暑さ寒さに強く、大変丈夫で初心者でも栽培しやすいってことなんだ。だから、みんなの花壇にもっと使った方がいいぞ。ただし、日当たりの悪いところはダメなんだな。少なくとも半日は日が当たる場所でないと花が咲かなくなるぞ。
 チェリー・ブランデー

ルドベキアを栽培する上で、注意しておくことが一つあるんじゃ。実は、ルドベキアの中で、オオハンゴンソウと呼ばれているラキニアータ種(R. laciniata)は、外来生物法により「特定外来生物」に指定されていて、許可なく栽培したり、保管、運搬、輸入、譲渡することが禁止されているから気を付けるんだぞ。オオハンゴンソウは、北日本や中部日本の高地では広く自然繁殖しており、在来植物の生態系に悪影響を及ぼす恐れがあるんだ。だから、綺麗だからって、不用意に種や株を持って帰るんじゃないぞ! 十分気を付けてな!
<特定外来生物に指定されているオオハンゴンソウ(栽培・保管・運搬・譲渡など禁止)>

オオハンゴンソウの草姿     オオハンゴンソウの花

 操の「へぇ~!」
ルドベキアっていうんですね。よく見かけます。地方に行くと列車の窓から見える畑の花、畑に咲く花ってイメージがあります。その横にダリヤやカンナ、タチアオイも。ボンカレーや蚊取線香の広告と一緒になつかしい旅の思い出として心に残っています。花ってすごい。その横を飛んでいた茶色の蝶も一緒によみがえってきました。

 「ルドベキア」を見に行こう!!
「兵庫県立フラワーセンター」のHPはこちら>

ムッシュ・フルーリは白井にとって緑の知恵袋のような存在。バックナンバー「ムッシュ・フルーリ緑の扉」にも植物の知りたいコトが満載です。

ムッシュ・フルーリ花探検 第7話ヘメロカリス

【参加募集中】ムッシュ・フルーリと夏の花探検!
兵庫県立フラワーセンターでは、ムッシュ・フルーリ園長のとっておきの植物セミナーが毎月開催されています。思わず「へぇ~!」と言ってしまう、とっておきの話題がいっぱい。
フラワーセンターのお花とムッシュ・フルーリに会いに行きませんか?
(参加の皆様には会場で操さんのレシピプレゼントもあります。)
『ムッシュ・フルーリの「へぇ~!」な雑学』開催日程
7/13(土)、8/17(土)、9/14(土)
(すべて13:30~。ご参加には予約が必要です。)
予約・お問い合わせは
 TEL:0790-47-1182(兵庫県立フラワーセンター)

第7話 ヘメロカリス

関西では入梅が遅かった梅雨も後半になり、そろそろ大雨が降る時期になってきたね。今年は大きな被害がなければいいがなぁ。

さて、この時期になると日本中のあちこちで花を咲かせ始めるワスレグサの仲間たち。この花を見るといよいよ夏がやってきたなぁ~って感じがするよな。えっ、ワスレグサってどんな花、だって? みんなはワスレグサを知らないのかい? じゃあ、ニッコウキズゲ、ヤブカンゾウ、ノカンゾウ、ユウスゲって言う花は? ほら、知っているじゃないか。そう、これらのキスゲやカンゾウ類を総称してワスレグサって言うんだぞ。花は知っているけど、名前を知らないだけだろう?
 ニッコウキスゲ
 ヤブカンゾウ
 ノカンゾウ
 ユウスゲ
ついでに言っておくと、このワスレグサたちは、最新の研究では、ワスレグサ科ワスレグサ属に分類されているんだ。以前は、ユリ科に分類されていたんだけど、最近になって、アロエやニューサイラン、トリトマなどとともに、ユリ科から独立してワスレグサ科になったんだぞ。
そして、このワスレグサ属の学名が、Hemerocallis すなわちヘメロカリスなんだな。ここまで来ると分かったかな。みんなには、初めから標題にあるヘメロカリスって言った方が理解できたみたいだね。

ワスレグサの仲間たちは、東アジア、中でも中国、朝鮮半島、日本を中心に自生していて、わが国にも、先に挙げたニッコウキスゲやノカンゾウにヤブカンゾウ、ユウスゲのほかにも、ハマカンゾウ、エゾカンゾウ、ムサシノキスゲ、ヒメカンゾウなどなど、おおくの野生種があるんだ。ワスレグサの仲間は、ユリに似た花を咲かせて、その花が一日で終わってしまうことから、英語ではDaylilyって呼ばれているんだ。
これらの野生種が新大陸に渡ったとたん、アメリカ人の心をぐっと惹きつけて、凄い勢いで品種改良がなされていったんだ。その理由は、何しろ暑さ寒さにめっぽう強く、土質を選ばず乾燥にも耐えて、一日花だけど花数が多いので、長期間咲き続けることなどなど、簡単に言えば、植えっぱなしで手入れ要らず、しかも真夏に綺麗な花が咲き続けるってとこかな。どうだい、みんなにもピッタリの花だろう?

カラフルな園芸品種の数々①②

今では、毎年数百もの園芸品種が育成されていて、本来の野生種にはなかった、真っ赤や紫、それに複色の花など、非常にカラフルになってきてるんだぞ。みんなも一度これらの園芸品種を育ててみてごらん。きっと気に入ると思うよ。

カラフルな園芸品種の数々③④

それに、もう一つ付け加えると、日本に自生しているヤブカンゾウやノカンゾウは、野菜としても利用できるんだぞ。平安時代から若葉を摘んでお浸しにしたり、また、蕾を乾燥させて保存食としてたんだ。今でも、春先になると、山菜摘みの対象になったり、スーパーでも売られていることもあるよな。特に、若芽をさっと湯がいて酢味噌で食べると、しゃきしゃきとして旨いぞ。

花が綺麗で長持ちし、大変丈夫で育てやすく、しかも、美味しくいただけるなんて最高じゃない?

最後に、ワスレグサって言う名前だけど、中国の古書・文選(もんぜん)の中に、「萱草忘憂」(萱草をして憂いを忘れしむ)の記述があり、この植物が憂いや苦しみを忘れさせてくれると信じられていたみたいだね。これを読んだ当時の日本の貴族たちが「忘れ草」と名付けたようだね。万葉集や古今和歌集などにもこの「忘れ草」を詠んだ歌がたくさんあるから、探してごらん?。

操の「へぇ~!」
ノカンゾウを酢味噌でシャキシャキと食べる感触、私も思い出しました。
昔の人は今ほど野菜の種類が豊富でなかった分、野草の味わいや食感でも季節を感じていたのかもしれませんね。色んな野草がある中で、最初に食べた人の勇気に感謝です。

「ヘメロカリス」を見に行こう!!
「兵庫県立フラワーセンター」のHPはこちら>

ムッシュ・フルーリは白井にとって緑の知恵袋のような存在。バックナンバー「ムッシュ・フルーリ緑の扉」にも植物の知りたいことが満載です